弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

瀬戸市の病院,体調不良の84歳患者が薬を定量投与された後脳内出血で死亡(報道)

MSN産経「男性患者、投薬後に死亡 愛知県瀬戸市の病院」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.
 
「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、入院していた男性患者=当時(84)=が投薬を受けて脳内出血を起こし死亡していたことが14日、分かった。

 同病院によると、担当医は定められた適切な量の薬を投与していたが、男性は体調不良だったといい、投薬の何らかの影響があったとみられる。

 男性は昨年4月下旬から、手足のしびれを訴えて入院していた。

 病院側は医療ミスだったとして、男性の家族に謝罪。賠償金を支払う方針で、示談交渉を進めているという。」



メ~テレニュース「陶生病院で医療ミスが原因で男性死亡 愛知・瀬戸市」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.

「愛知県瀬戸市の病院に入院していた男性患者が、投与された薬が原因とみられる脳内出血を起こして死亡していたことがメ~テレの取材でわかりました。

「死亡した男性の息子は、父の容態が急変して亡くなり驚いた、などと話しました。
男性患者が死亡したのは瀬戸市の公立陶生病院です。
遺族と病院によりますと2011年4月下旬、当時83歳の男性が手足のしびれなどを訴えて入院し、血液が固まるのを防ぐ薬が投与されました。
担当の医師は、決められた量の薬を投与しましたが男性は肺炎にかかるなど体調不良だったため薬に過剰反応し、2011年5月24日、脳内出血を起こして死亡したということです。
病院側は、「患者への注意義務を怠った」として医療ミスを認め、男性の遺族に謝罪しました。
賠償金を支払う方向で示談交渉が進んでいます。」



中日新聞「薬の投与後に脳内出血で患者死亡 瀬戸の公立陶生病院」(2012年9月14日)は,次のとおり報じました.

 「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、手足のしびれを訴えて入院した80代の男性患者が、薬の投与後に脳内出血で死亡していた。関係者が認めた。

 関係者によると、男性は昨年4月に入院。病院は血液を流れやすくする薬を、処方上で決められた量投与したが、男性の体質などから薬が効きすぎて出血が起きたとみられる。病院側は、投与後の注意義務を怠ったと認めているという。

 病院は遺族と示談交渉を進めている。」



中日新聞「薬投与後に患者死亡 「医療事故との認識で対応」 院長ら会見」 (2012年9月15日)は,次のとおり報じています.

「愛知県瀬戸市の公立陶生病院で昨年5月、薬の投与後に80代の男性患者が死亡したことを受け、酒井和好院長らは14日、院内で会見し「医療事故という認識で対応している」と話した。遺族とは示談交渉中という。

 病院によると、男性は同月13日に脳梗塞の症状が見られたため、血液を固まりにくくする薬を処方。20日に薬が効きすぎたため投薬量を半減したが、その4日後に脳出血で亡くなった。病院は、血液が予想以上に流れてしまい、脳出血の程度が悪化したとみている。担当者は「患者の年齢を考慮し、減薬ではなく投薬をやめていれば、出血の程度が軽くなって救命できたかもしれない。反省すべき点があると考えた」と話した。その上で「コントロールが難しい薬。担当医によって判断が分かれる」と苦悩も見せた。」


毎日新聞「瀬戸・陶生病院:投薬管理に問題、患者遺族と示談協議 /愛知」(2012年09月15日)は,次のとおり報じています.
 
「公立陶生病院(瀬戸市)は14日、入院中に脳出血で死亡した80代の男性患者の遺族と示談に向けた協議を進めていることを明らかにした。薬剤の調整に問題があり、「医療事故に準じる」と判断したという。

 病院によると、男性は下肢のしびれなどを訴えて5月2日に入院した。多発性脳梗塞(こうそく)を過去に発症した痕跡があったことから、血栓予防のため、血液を固まりにくくする薬剤(抗凝固薬)の投与を始めた。同20日に血液が凝固する能力が著しく低下したため、抗凝固薬の投与量を半分にしたが、同24日未明に脳出血を起こし、同日夕方に死亡した。

 遺族が証拠保全を申し立てたため、病院側が当時の治療を検証した。脳出血自体は防げなかったが、高齢でリスクが高い患者であることを考慮し、抗凝固薬の投与量と血液凝固能の調整を通常よりも慎重に行っていれば、死亡するほど重篤にはならなかった可能性があると結論付けたという。【荒川基従】」


薬剤名が不明ですが,血流を改善する薬剤は微妙なコントロールが必要で,一般成人について「定められた適切な量」は,患者の年齢,状態を考慮すると,必ずしも適切な量とは限りません.
本件は,医原性の出血による死亡と考えられますので,肺炎後の状態を考慮し薬剤を減量投与すれば死亡が避けられたとすれば,非常に残念です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-15 08:31 | 医療事故・医療裁判