弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

セカンドオピニオンの土庫病院の医師が前の検査記録で胃潰瘍と伝え胃がんで死亡した事案,提訴へ(報道)

毎日放送「胃がん告知ミス 遺族ら提訴へ 」(2012年10月20日)は,次のとおり報じています.

 「奈良県大和高田市の病院で、胃ガンの男性患者に誤って「胃潰瘍」と告知しその後、患者が死亡した問題で、遺族らが来週にも損害賠償を求める裁判を起こすことがわかりました。

 訴えを起こすのは、がんで亡くなった石田政裕さん(53)の遺族らです。
 石田さんはおととし9月、大和高田市の土庫病院で検査を受け、胃がんが見つかりました。
 ところが本人に告知する際、検査した医師とは別の医師がこのデータを見逃し、誤って胃潰瘍と伝えたということです。
 1年後に告知ミスが判明しましたが、すでに病状が進行していて石田さんは、今年7月に死亡しました。
 遺族らは「治療の遅れがなければ、病気を治すことができたと考えるべきだ」として来週にも病院側を相手取り、およそ1億4000万円の損害賠償を求める裁判をおこす方針です。

 これに対し病院側は「訴状を見てからでないとコメントできない」としています。」


別の病院で胃潰瘍と診断された患者が,セカンドオピニオンとして受診した土庫病院でも胃潰瘍と説明されました.ところが,それは前の病院の検査結果を今回の検査結果と医師が勘違いして伝えたもので,胃カメラと細胞検査を担当した別の医師2人が胃がんの可能性があると診断していたことが後にわかった事案です.この行き違いが無念だったのでしょう.
医療事故の中には,初歩的なミスが結構含まれています.医療事故には容易に防止可能なものもあります.

【追記】

MSN産経「告知ミスなければ完治」 がんで死亡の遺族提訴 医療法人に1億4千万円求める」(2012年10月22日)は,次のとおり報じました.

「奈良県大和高田市の特定医療法人健生会「土庫病院」の検査で胃がんと判明したのに、1年間告知されないまま死亡した同県橿原市の石田政裕さん=当時(53)=の遺族が22日、「告知ミスがなければ完治できた可能性が高い」と同会などに慰謝料など約1億4千万円を求め、奈良地裁葛城支部に提訴した。

 病院や訴えによると、胃がんとの検査の結果は平成22年9月に出ていたが、告知は1年後だった。病院は今年7月に会見し、告知ミスを謝罪した。

 訴えによると、22年2月に別の医療機関が胃潰瘍、病院は同年9月に胃がんと診断した。しかし、病院は石田さんから提出されていた医療機関の診断書を病院の診断書と間違え、胃潰瘍と誤って告知。23年9月に病院での人間ドックで胃がんがあらためて確認され、告知ミスも発覚。今年7月に死亡した。」



【再追記】

毎日新聞「土庫病院の胃がん告知ミス:損賠訴訟 被告側「請求棄却を」地裁 /奈良」(2012年12月21日)は,次のとおり報じました. 

「特定医療法人健生会「土庫病院」(大和高田市日之出町)による胃がん告知ミス問題で、早期治療の機会を奪われ亡くなった男性(当時53歳)の遺族らが、健生会などに約1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟が20日、奈良地裁(牧賢二裁判長)で始まった。被告側は過失を認める一方、「(保険適用外の)免疫療法などに要した費用と過失の相当因果関係は否定せざるを得ない」とし、請求棄却を求めた。

 訴状などによると、橿原市の建設業、石田政裕さんは10年2月、他の病院の胃カメラ検査で胃潰瘍と診断され、同9月9日、土庫病院で受診。病理検査などで胃がんと判明したが、副院長は2月の検査結果を見て胃潰瘍と思い込み、胃潰瘍と告げて胃薬を処方した。11年9月に同病院で人間ドックを受け、告知ミスが判明。末期がんで手術ができず、化学療法に加え、保険適用外の治療を受けたが7月3日に亡くなった。

 原告側は、10年9月時点の胃がんの進行度は「ステージ1」程度だったと推測され、切除できた可能性がきわめて高く、一般的に8?9割以上の確率で完治するとされていると主張。「治療開始が1年間も遅れ、病状に相当の違いが生じた」と指摘している。

 一方、被告側は「がんはきわめて悪性度が高く、進行ステージもより高かった可能性が高い」と反論した。免疫療法などの「先進医療」は治療効果が検証・確認されていない実験段階のもので、「本件で治療効果を上げた形跡もない」と主張。「原告らの主張する損害は、過失との相当因果関係の超える金額が含まれている」としている。【千脇康平】」


【再々追記】

MSN産経「診察の副院長を刑事告訴へ 遺族、胃がん告知ミスで 奈良」(2013年3月28日)は,次のとおり報じました.

「大和高田市の特定医療法人健生会「土庫(どんご)病院」(山西行造病院長)が胃がんを告知ミスし、橿原市の患者、石田政裕さん=当時(53)=が病死した医療事故で、石田さんの遺族が近く、診察した副院長を業務上過失致死容疑で高田署に刑事告訴することが27日、分かった。

 遺族の弁護人によると、告訴状では、副院長が石田さんに検査結果を説明する際、「業務上の注意義務を怠った」と指摘。「胃がんを胃潰瘍(かいよう)と誤信させて治療の機会を奪い、死亡させた」としている。

 石田さんの妻、久美子さん(53)は「命に関わる大事なことを見落としたことは許せない。主人の思いを代弁して告訴を決めた」と話した。

 同病院は「コメントは控えたい」としている。」



谷直樹

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by medical-law | 2012-10-20 20:00 | 医療事故・医療裁判