弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京地裁平成24年10月25日判決,児の心疾患を見逃しカルテ改竄の清水産婦人科クリニックに賠償命令(報道)

医療法人社団清雅会清水産婦人科クリニック(江戸川区)のホープページには,『産婦人科病院を選ぶコツ』が載っています。

「まず一番に大事なポイントは「安全」であるということです。(中略)出産の危険は、妊娠中のどの時期にも起こる可能性があり、最後まで気が抜けません。「万が一」の事態が迫ったことを的確に早く把握し、迅速に対処出来るのが「安全性」に優れた産婦人科病院です。そして、その「安全な産婦人科病院」としての機能が、診療時間内だけやベテランの産婦人科医がいる間だけではなく、24時間、365日保たれていることが重要です。夜間や休診日には、産婦人科医がいなかったり、いたとしても経験の浅い医師が一人だけだったり、というのでは「安全な産婦人科病院」とはいえません。

また、お母さんだけでなく生まれてきた赤ちゃんに対する「安全」も大きなポイントです。
元気な赤ちゃんや多少の問題は、産婦人科で十分に対応できますが、その範囲を超えてしまった場合には小児科、生まれたばかりの赤ちゃんを専門にしている新生児科が必要となってきます。特にNICU(新生児集中治療室)があれば、そこは、大学病院も赤ちゃんを送ってくるかもしれないほどの「最高レベルの産婦人科病院」と考えてよいでしょう。
清水産婦人科クリニックには、NICUを2床備えておりますので、未熟児も安心して管理することが出来ます。」


東京地裁民事30部は,平成24年10月25日,その清水クリニックの医療過誤とカルテ改竄を認める判決を下しました.


(2013年4月24日19時54分 読売新聞)
フジテレビ「0歳児診察で心疾患見落とし認め、約6,000万円賠償命令 東京地裁」(2012年10月25日)は,次のとおり報じました.

「生後1カ月の赤ちゃんがずさんな診察で死亡したなどとして、両親が病院に損害賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所は病院に対して、およそ6,000万円の支払いを命じた。
この裁判は、2007年に死亡した生後1カ月の赤ちゃんをめぐって、東京・江戸川区の「清水産婦人科クリニック」が適切な診察を行わず、心疾患を見落としたうえ、カルテを改ざんしたなどとして、両親が病院を相手におよそ6,000万円の損害賠償を求めていたもの。
25日の判決で、東京地裁は「カルテの記載は不自然な点が多く、極めて信用性に乏しい」と、カルテの改ざんを認めたうえで、「医師は適切な診断を怠り、専門病院での疾患の治療の機会を逸しさせた」などとして、請求を全面的に認め、病院に対しておよそ6,000万円の支払いを命じた。」


読売テレビ「乳児死亡 病院の疾患見落とし認める判決」(2012年10月25日)は,次のとおり報じました.

「生後1か月の長女が死亡したのは、病院が疾患を見落としたのが原因だとして、両親が病院側を訴えていた裁判で、東京地裁は25日、両親の訴えを全面的に認める判決を言い渡した。

 07年に生後1か月で死亡した優華ちゃんは、解剖の結果、心臓に疾患があったことがわかった。しかし、死亡する前、東京・江戸川区の清水産婦人科クリニックは「異常なし」と診断していて、両親は疾患の見落としがあったと訴えていた。

 優華ちゃんの母親は会見で「優華にたくさんの心配なことが出ても『大丈夫、大丈夫、この子の個性なんだから』と言われ続け、全然大丈夫じゃなかったのに、一刻を争う状態だったのに」と述べた。

 25日の判決で東京地裁は、「病院側が提出したカルテは信用できない」とした上で、病院側の過失を認め、5800万円の支払いを命じた。病院側は「判決文を読んでいないのでコメントできない」としている。」


テレビ朝日「0歳女児死亡で病院側に6000万円支払い命じる判決」(2012年10月25日)は,次のとおり報じました.

「0歳の女の子の死亡を巡って医療過誤が問われた裁判で、両親側が全面勝訴です。

 母親:「助けられたはずの優華を失ったのですから、これからも悲しみは変わりません」
 2007年、都内の産婦人科医院で生まれた優華ちゃんが、退院後、先天性の心臓の病気のため、生後38日で死亡しました。優華ちゃんの両親は、医師が聴診を適切に行わず、病気を見落としたことが死亡の原因だとして、損害賠償を求める訴えを起こしました。医院側は、カルテの記載から、「病気の所見はなかった」と主張していました。判決で、東京地裁は「適切な診断を行う義務を怠った」として、医院側に約6000万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。」



時事通信「0歳児死亡、医療過誤認める=両親が勝訴-東京地裁」(2012年10月25日)は,次のとおり報じました.

「心不全のため生後1カ月余りで死亡した女児の両親が、死亡は診療ミスによるものだとして、清水産婦人科クリニックを経営する医療法人社団清雅会(東京都江戸川区)に損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であり、菅野雅之裁判長は「死亡はクリニック側の注意義務違反によるものだ」として、請求通り計約5800万円の支払いを命じた。
 判決は、聴診を行うなどすれば心雑音の異常を聞き取ることができ、適切な診断が可能だったと指摘。遅くとも1カ月健診時には、体重の増加不良やその他の症状の観察によって心疾患と診断し、専門病院に転送すべき注意義務があったのに、クリニック側はこれを怠ったとした。
 その上で、適切な診断が行われていれば、命を救えた可能性があると判断した。」


毎日新聞「医療過誤:0歳児死亡で賠償請求全額認める 東京地裁」(2012年10月25日)は,次のとおり報じました.

「長女が生後1カ月余りで死亡したのは産科診療所の診療に誤りがあったためとして、両親が診療所を経営する医療法人社団に計5880万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、両親の請求を全て認める判決を出した。菅野(かんの)雅之裁判長は「適切な時期の診断と治療で救命する可能性があった。請求額は社会通念上、妥当だ」と指摘した。

 判決によると、母親(36)は07年9月、東京都江戸川区の「清水産婦人科クリニック」で長女を出産。退院後も通院したが、長女は先天的な心臓疾患で血液の流れが悪く、同11月に急性心不全で死亡した。

 両親は「毎日の聴診をしていれば簡単に発見できた症状なのに、見落とされた。死亡後にカルテも改ざんされていた」と提訴した。

 菅野裁判長は「実際に聴診を行うか、真剣に聴こうとすれば異常を聴取でき、専門病院に転送もできた」と診療所側のミスを認定。さらに「カルテの記載には不自然、不合理な点が多く、信用性は極めて乏しい」と疑問を投げかけた。

 判決後、父親(37)は「ずさんな診療で命が奪われた。長女に良い報告ができる」と話した。【鈴木一生】」


これも,患者側代理人弁護士は医療問題弁護団の弁護士です.
これは控訴審があるでしょう.気を抜かず,がんばってください.


【追記】

控訴審判決言渡しは,2013年4月24日(水)13時30分,東京高裁817号法廷(8階)です.

読売新聞「1か月女児死亡、2審も産院の過失認める」(2013年4月24日)は,次のとおり報じました.

「生後1か月の娘が死亡したのは産院が先天性の心疾患を見過ごしたためだとして、栃木県の両親が東京都江戸川区の産院側に約5800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(坂井満裁判長)は24日、請求全額の支払いを命じた1審・東京地裁判決を支持し、産院側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 産院側は上告した。

 控訴審で産院側は、「非常にまれな疾患で、発見するのは不可能。手術しても救命の可能性は低かった」と主張したが、高裁は「注意深く聴診していれば、心臓の異常音を把握でき、専門病院での適切な治療で救命できる可能性が十分あった」と退けた。

 判決後、東京・霞が関で記者会見した母親(36)は「裁判所が訴えをすべて認めてくれて感謝している」と話し、代理人の沢藤統一郎弁護士は「新生児を扱う医療機関は、専門知識を持つ医師を置かねばならないことを示した判決だ」と評価した。一方、産院側は「正しい医学的知見に基づかない判決だ」とコメントした。」



静岡新聞「二審も病院が全面敗訴 心疾患見落とし、乳児死亡」(2013年4月24日)は,次のとおり報じました.

「生後1カ月余りの女児が死亡したのは医師が先天性の心疾患を見落としたためだとして、栃木県の30代の両親が清水産婦人科クリニック(東京都江戸川区)の運営法人に5880万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、一審東京地裁判決に続き全額の支払いを命じた。
 判決によると、女児は07年11月、大動脈弁狭窄症で死亡した。病院側は「産婦人科医には診断が困難な心疾患だった」と過失を認めなかったが、坂井満裁判長は「遅くとも1カ月健診で心雑音を聴けば、適切に診断して他の病院に転送できた」と否定した。
 父親は「ずさんな診療が命を奪った」と病院側の対応を批判した。」


日本経済新聞「新生児死亡、二審も病院に賠償命令 東京高裁」(2013年4月24日)は,次のとおり報じました.
 
「長女が生後1カ月余りで死亡したのは医師が先天性の心疾患を見落としたのが原因として、栃木県の両親が、清水産婦人科クリニック(東京・江戸川)を経営する医療法人社団「清雅会」に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。坂井満裁判長は請求通り5880万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持、病院側の控訴を棄却した。病院側は即日上告した。

 控訴審で病院側は「非常にまれな疾患で、発見は困難だった」と主張した。判決理由で、坂井裁判長は「聴診で心雑音を聞き取れる状態だった」と判断。長女には多呼吸などの全身症状もあり、「遅くとも1カ月健診時には心疾患だと診断できた」と病院側の過失を認定した。

 判決によると、長女は同クリニックで生まれ、2007年11月、大動脈弁狭窄(きょうさく)症で死亡した。

 判決後に記者会見した母親(36)は「このような医療事故は二度と起きてほしくない」と涙ながらに訴えた。同クリニック側は「正しい医学的知見に基づかず、産科医療の現場の実情を顧みない誤った判決だ」とコメントした。」


中日新聞「二審も病院が全面敗訴 心疾患見落とし、乳児死亡」(2013年4月24日)は次のとおり報じました.

「生後1カ月余りの女児が死亡したのは医師が先天性の心疾患を見落としたためだとして、栃木県の30代の両親が清水産婦人科クリニック(東京都江戸川区)の運営法人に5880万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、一審東京地裁判決に続き全額の支払いを命じた。

 判決によると、女児は07年11月、大動脈弁狭窄症で死亡した。病院側は「産婦人科医には診断が困難な心疾患だった」と過失を認めなかったが、坂井満裁判長は「遅くとも1カ月健診で心雑音を聴けば、適切に診断して他の病院に転送できた」と否定した。

 父親は「ずさんな診療が命を奪った」と病院側の対応を批判した。
(共同)」


TBS「新生児死亡、2審も両親の訴え認める判決」 (2013年4月24日)は次のとおり報じました.

「適切な診断をせず心臓病の症状を見逃したために生後1か月の乳児が死亡したとして、両親が東京都内の産婦人科医院に損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁は1審と同じく両親の訴えを認める判決を言い渡しました。

 この裁判は栃木県に住む夫婦の長女、優華ちゃんが、2007年に生後1か月で死亡したのは、医師が適切な診断を怠り重い心臓病の症状を見落としたためだとして、両親が東京・江戸川区の「清水産婦人科クリニック」に損害賠償を求めたものです。

 1審の東京地裁が両親の訴えを全面的に認め、およそ6000万円の賠償を命じたのに対し、医院側は「産婦人科医では病気の発見は困難だった」と主張し控訴していました。24日の判決で東京高裁は、「1か月検診で総合的に診断すれば重い心臓病と分かり救命できた可能性は高い」として医院側の控訴を退けました。

 「一度も診察してくれなかったこと裁判所にわかってもらえた。このような医療過誤は二度とおきてほしくない」(母親)

 医院側は即日、上告受理の申し立てをしたということです。」



l控訴人は,ASではなくCritical ASである,Critical ASはまれな疾患で診断不可能,と主張したようです.Critical ASでもASでも,心拍出量が保たれている限り聴診による診断ができますし,全身状態悪化からも,心疾患を疑って専門医へ搬送する事案でしょう.判決は正当と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2012-10-26 04:08 | 医療事故・医療裁判