弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

「最後の一人まで面倒をみる」は,嘘だったのでしょうか?

11月5日に科学技術館で開かれた 「いまハンセン病療養所のいのちと向き合う!-実態を告発する市民集会」について,東京新聞群馬版「回復者の介護充実を「差別の歴史で障害重く」 ハンセン病療養所改善求め、東京で集会」(2012年11月7日) が,次のとおり報じています.
 
「全国のハンセン病関連団体などで組織する「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会」の主催。十三カ所ある国立療養所などから回復者や職員らと、県内の支援者三十人以上を含む計約四百八十人が来場した。

 谺さんは「(戦時中などに極寒の草津で)燃料節約のため、患者が炭やまきを運ぶ強制労働をさせられた。元から病気なのだから障害が重くならないわけがない」と指摘。

 「国の政策のせいで車いす生活になった。それなのに、(暑い日も寒い日も)風呂は一週間に三回。あまりにひどい。これでいいのか。なんとか援助を」と声を張り上げた。

 続いて、戦時中に病気が遺伝すると誤解され、強制堕胎(だたい)の際に目の前でわが子を殺された星塚敬愛園(鹿児島県)の玉城シゲさん(94)が登壇した。

 玉城さんは「人間として子どもを育てられず、女として生きる値打ちがないとされた。犬猫に劣る生活を強いられた上で(今の介護が不十分な生活では)死ぬに死ねない。(国に改善を求めて)ハンスト(ハンガーストライキ)をやりたい」と決意を語った。

◆職員数1割減る 全国
 国はハンセン病患者に長年不条理な強制隔離政策を続けたが、二〇〇一年に国家賠償訴訟に敗訴して「最後の一人まで面倒をみる」と約束。しかし、国は〇九年、国家公務員を五年で一割以上削減すると決め、全国の療養所職員数は〇七年から約一割減少して計約三千四百人となった。

 全国の療養所にいる回復者は約二千百人。平均年齢は八十二歳で、食事などに介助が必要な人は26%、認知症の人は22%、寝たきりの人は9%いる。

 食事の介助が不十分なために、のどに食べ物を詰まらせたのが原因で亡くなる人が増え、夜中にトイレに行く際に人員不足から職員が間に合わず、転倒して骨折する人も多い。

 栗生楽泉園では、回復者が百十五人おり、平均年齢は八十三歳。年間平均で十数人、この四カ月では七人亡くなった。

 同園の職員定員は二百十四人のところ、在籍は百八十六人。常勤の医師が二人、看護師が二十一人不足している。職員は三月に約十人退職し、四月の採用は四人にとどまった。」


高齢化する入所者に対し,職員数を減らし経費節減,というのは,あまりにも不合理です.国は,人権侵害の強制隔離政策を真に反省しているのでしょうか?

厚生労働省大臣の「ハンセン病問題対策協議会における確認事項」(平成13年12月15日)では、「13の国立ハンセン病療養所入所者が在園を希望する場合には、その意思に反して退所、転園させることなく終生の在園を保障するとともに、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するため、入所者の生活環境及び医療の整備を行うよう最大限努める」とされました.この「最後の一人まで面倒をみる」は,嘘だったのでしょうか?

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-08 05:36 | 医療