弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

練馬区の歯科診療所の元医院長の歯科医師が業務上横領の容疑で逮捕される(報道)

MSN産経「「手取り収入が15万円…」 歯科医師逮捕 診療報酬100万円着服容疑」(2012年11月9日) は,次のとおり報じています.
 
「診療報酬約100万円を着服したとして、警視庁光が丘署は、業務上横領の疑いで、東京都板橋区南常盤台、歯科医師、××××容疑者(58)を逮捕した。同署によると、「手取り収入が15万円ほどしかなく、家族への仕送りや生活費のためだった」などと容疑を認めている。

 逮捕容疑は、練馬区の歯科診療所で医院長として勤務していた昨年8~9月、計2回にわたり、60代の女性患者に行ったインプラント治療の診療報酬計約100万円を着服したとしている。歯科助手に指示して治療したことをカルテに記載させなかったという。

 内部調査で不正が判明し、診療所が同年12月、光が丘署に告訴していた。

 ××容疑者は平成17年にも、当時開業していた医院で診療報酬の不正請求を行ったとして、厚生労働省から医業停止1カ月の行政処分を受けていた。」


歯科診療所の医院長なので,窃盗の容疑ではなく,業務上横領の容疑となります.
類似の事件が医師でも報道されています.

MSN産経「守山市民病院 副院長が不正会計12回 滋賀」(2012年11月1日)は,次のとおり報じました.

 「■親族診察、カルテに記載せず

 守山市民病院(同市守山)は31日、副院長(58)が親族の男性患者(78)を診察した際に、診療内容をカルテに記載せず、診療報酬を算定しない不正な会計処理を12回繰り返していたと発表した。請求漏れとなった診療報酬は約60万円に上るという。

 同病院によると、副院長は請求漏れを認めたうえで、「診療報酬に対しての認識が甘かったのと、事務部門への請求指示に不備があった」としたが、「親族に便宜を図ったわけではない」と話しているという。

 診療報酬は通常、診察した医師がカルテに診療内容を記載して算定。患者が負担割合に応じた診察料金を支払い、病院側が残りを保険請求する。

 同病院によると、この男性患者は酸素ボンベを利用した在宅療法を受けていた。副院長は昨年2月から今年8月までに12回にわたり、男性患者にボンベの使用法を指導するなどの診察を行った際、カルテに診察内容を記載せず、診療報酬を算定しなかった。

 このため、男性患者は約28万円分の診察料金の支払いを免れるとともに、病院側は約32万円分の保険請求ができなかった。ほかの医師もこの男性患者を診察していたが、副院長が診察したケースでだけ請求漏れがあった。」


つまり,インプラント治療の診療報酬計約100万円を請求し着服した疑いで58歳の歯科医師は逮捕されましたが,親族に診察料金を請求しなかった58歳の医師は逮捕されませんでした.

なお,歯科医師が診察内容をカルテに記載しなかったことは,歯科医師法23条違反となり50万円以下の罰金に処せられます(歯科医師法31条の2 1号).
医師が診察内容をカルテに記載しなかったことは,医師法24条違反となり50万円以下の罰金に処せられます(医師法33条の2 1号).
もちろん,検察がそれぞれ歯科医師法23条違反,医師法24条違反を立件する気があれば,ですが.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-11-11 01:41 | 医療