弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

弘前市立病院,看護師ら3人が余ったインフルエンザワクチンを自宅に持ち帰り自分の子どもに接種(報道)

読売新聞「無断でワクチン持ち帰り接種」(2012年11月17日)は,次のとおり報じています.

「弘前市立病院(東野博院長)は16日、看護師、准看護師計3人が、患者に接種した後に余ったインフルエンザワクチンを無断で自宅に持ち帰り、自分の子供に接種していたと発表した。

 発表によると、40歳代の看護師は7日、患者に接種したインフルエンザワクチンの残りが入った容器と未使用の注射器を持ち帰り、自分の子供に0・25ミリ・リットルを接種。30歳代と40歳代の准看護師2人も8日と14日に同様の行為をした。3人は同じ外来の部署で勤務していた。14日に容器を持ち帰る准看護師を別の看護師が目撃し、3人の行為が発覚した。3人は「廃棄するのがもったいなかった」と話している。ワクチンを接種した3人の子供に健康被害はないという。

 記者会見した東野院長は「医師の指示なく接種を行った3人の行為は、保健師助産師看護師法違反の可能性が強い」としている。国や県などと相談して、処分や再発防止策などを決める。」


廃棄するものであっても,廃棄するまでは無主物ではありません.
少なくとも,未使用の注射器を持ち帰ち帰った行為は窃盗罪になります.

保健師助産師看護師法三十七条は,「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。」と定めています.
ワクチンの注射は,医療行為で,医師の指示がなければ,看護師又は准看護師は他人にワクチンの注射を行えない,と解すべきでしょう.

本件は,財産的損害が軽微で,健康被害が生じていませんので,厳しい処分は不要と思いますが,公私混同を厳に慎むよう鈍麻した規範意識を回復し再発がないよう指導する必要はあると思います.

【追記】

毎日新聞「弘前市立病院:ワクチン不正使用 40代看護師も下剤持ち出す /青森」(2012年12月1日) は,次のとおり報じました.

「弘前市立病院の看護師らが接種後のインフルエンザワクチンを持ち帰り不正使用した問題で、同病院は30日、全職員336人に調査し、別の40代女性看護師が08年夏ごろ、廃棄すべき下剤を持ち出したとの自己申告1件があったと発表した。

 退院や死亡で不要になった錠剤と座薬を2回持ち出し、自分で使ったという。同病院は調査結果を県などに報告し、厚生労働省などの指導を待って処分を検討する。【松山彦蔵】」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-17 09:31 | 医療