弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

肝機能値異常後もユリノーム投与を続け薬害性肝障害から肝不全等で死亡した事案で医師が提訴される(報道)

毎日新聞「提訴:「不適切な投薬で死亡」 吉田の田崎クリニック、遺族が賠償求め /静岡」(2012年11月28日)は,次のとおり報じました.

 「11年に県中部に住む当時60代の男性が死亡したのは不適切な投薬を続けたためだとして、男性の遺族計4人が27日、吉田町の「田崎クリニック」に約7900万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴状によると、男性は09年11月、尿酸値が高かったため同病院を受診し、その後、錠剤「ユリノーム」を処方された。この薬は肝障害や黄だんなどの副作用を起こす場合があり、製薬会社は、定期検査をし異常があればすぐに投与を中止するよう医師に求めている。10年4月には肝機能検査で異常値が出ていたにもかかわらず、同病院は11年2月までの約10カ月間投与を続けたとしている。男性は同月、島田市民病院で薬害性の肝障害と診断され入院。11年4月、肝不全などで死亡した。

 遺族の代理人、青山雅幸弁護士が提訴後に記者会見を開き、「これほど明白な過失も珍しい」と批判した。会見に同席した男性の長女は、「病院から説明がなく、気持ちにもやもやが残ったまま。過ちをきちんと見直してほしい」と話した。

 田崎クリニック側は、「すべて弁護士にお願いしており、お話しできない」としている。【平塚雄太】」


MSN産経「医師を7900万円損賠提訴 遺族「副作用薬処方続け死亡」 静岡」(2012年11月28日)は,次のとおり報じました.
 
「尿酸値の改善のために処方された薬で肝機能障害が起きたにもかかわらず、その後も処方されたために死亡したとして、県内に住む患者の遺族が27日、吉田町の開業医の男性医師を相手取り、損害賠償約7900万円を求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴えたのは、昨年2月に死亡した県中部の60代の男性の妻ら遺族4人。訴状によると、亡くなった男性は平成21年11月から23年2月まで吉田町の病院に通院し、尿酸値を下げるために「ユリノーム」錠などを処方された。ユリノームには肝機能悪化の副作用があり、男性も22年6月までに「γ-GTP」など肝機能を示す数値が悪化。

 それでも男性医師はユリノームの処方を続け、男性には23年2月に黄疸(おうだん)の症状が現れ、転院後の病院で肝不全などで死亡したとしている。

 原告代理人の青山雅幸弁護士によると、ユリノームについては、製薬会社が肝炎などの副作用の危険性を警告する緊急安全性情報を医療機関に出している。青山弁護士は「これだけ注意喚起している薬なのに平然と投与し続けたのは考えられない」と話している。

 病院の医師は「弁護士にすべて頼んで対応している」、被告代理人の祖父江史和弁護士は「コメントできない」としている。」


2009年11月からユリノーム錠を処方し,2010年4月には肝機能検査で異常値が出て(毎日新聞),同年6月までに「γ-GTP」など肝機能を示す数値が悪化していた(産経新聞)にもかかわらず,ユリノーム錠投与を中止せず,黄疸がでた2011年2月まで投与し続けた事案のようです.

ちなみに,ユリノーム錠(ベンズブロマロン)の添付文書の警告欄には,次のとおり記載されています.

「1. 劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行う こと。また、患者の状態を十分観察し、肝機能検査値の異常、黄疸が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2. 副作用として肝障害が発生する場合があることをあらかじめ患者に説明するとともに、食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛、下痢、発熱、尿濃染、眼球結膜黄染等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、直ちに受診するよう患者に注意を行うこと。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-12-02 10:30 | 医療事故・医療裁判