弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本産科婦人科学会の検討委員会が新型出生前診断の指針案を作成

毎日新聞「新型出生前診断:日産婦指針判明 実施施設を限定 国の関与求める」(2012年12月13日)は,次のとおり報じています.

「妊婦の血液から高精度で胎児の染色体異常が分かる新型出生前診断について、日本産科婦人科学会(日産婦)の検討委員会が作成した指針案の概要が12日、明らかになった。妊婦が十分な認識を持たずに検査が行われる可能性があることを懸念。「安易な命の選別につながりかねない」などと導入には慎重な姿勢を求めている。

 日産婦は15日に指針案について理事会の承認を得た後公表。カウンセリング態勢などの条件を満たす施設は年内にも開始する。また、一般から広く意見を求める方針。

 指針案は出生前診断で判明する染色体異常には根本的な治療法がないため、手軽さだけで診断が普及すると、十分な情報のないまま妊婦が判断し、生命の選別につながりかねないことを懸念。「遺伝カウンセリングが適切になされ、妊婦が内容を正しく理解することが重要」とした上で、実施施設については「十分な遺伝カウンセリングが提供できる施設」と限定した。また、検査の対象についても、羊水検査などと同様に、「染色体異常の子どもの妊娠歴がある」「高齢妊娠」と限定している。さらに、一学術団体だけでルールを決めるのは負担が大きいとして、国の関与を求めている。

 実施施設の具体的な条件などは15日の理事会で最終的に決める見通し。日産婦の小西郁生理事長は指針案について「検討委員会では外部の有識者も交えて活発に議論できた。15日以降広く公表し、意見を求めたい」と話している。

 新型出生前診断は、昨年10月に米国で開始され、海外の複数の遺伝子検査会社が参入。妊婦の血液を調べることで、胎児にダウン症などの染色体異常があるかを調べることができる。

 国内では大学病院や公立病院が共同で臨床研究を計画している。国内には出生前診断に関する法的な規制がなく、新型についての日産婦の指針が注目されている。【斎藤広子、五味香織】」


健康百科「どんなDNAなら生まれてきていいのか」(2012年11月27日)もお読みいただく思います.

ダウン症協会理事長の玉井邦夫氏の,出生前診断シンポジウムでのほぼ全発言が掲載されています.

「次にどういう疾患が対象となるのか、次にどういう病気が対象となるのかには、果てがありません。一度だけ振り返って、「どんなDNAの人なら生まれてきていいのか」という問い掛けをしてください。

そのときに学会理事長の「誰一人として完全に正常な遺伝子を持っている人間がいない」という見解と、どこに線を引くのかという議論がどうかみ合うのかということを、もう一度しっかりと考えていただきたいと切に願います。

もし、どこかで線を引かなければならない、そこには切実な一人一人、個人個人の願いもあり、事情もあり、だからこそ技術が応用されなければならない、しかるべき社会的意義があるとしたら、線を引くこと自体が社会が社会であるために必要だと思います。ただ、その線はもう合理的な知識で引かれるものではなくて、文化という知恵で引かれる部分だと思います。だとすれば、その知恵が「多様な子供たちと生きる知恵」というところに転用されていっていただきたいとダウン症協会は考えます。」


【追記】
日本産科婦人科学会の「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針案」に関する報道について」によれば,上記報道はフライングだったようです.

「報道された「指針案」は、先週7日に開催しました第3回母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会で配布した指針案および委員会次第が、委員会に出席されたある団体のホームページに本会の許可を得ず無断で掲載され、それを見たメディアが記事としたものであります。本会として、ホームページ掲載が発覚しました11日に当該団体に対しホームページから削除するよう申し入れ、即刻削除されたことを確認いたしました。」とのことです.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-12-13 09:47