弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

福井大学医学部附属病院,コカイン約10グラム紛失(報道)

福井新聞「コカイン紛失、報告まで4カ月弱 福井大学附属病院、管理に甘さも」 (2012年12月22日)は,次のとおり報じました.

「福井県永平寺町の福井大医学部附属病院で医療用「塩酸コカイン」の粉末約10グラムを紛失した問題で、約7カ月間で所在不明となったコカイン約10グラムは、福井大医学部附属病院が通常保管するほぼ全量に相当する。麻薬取締法は、紛失などが起きた際は、都道府県への速やかな届け出を規定している。政田幹夫薬剤部長が不明を把握し、病院長に報告するまで4カ月弱。同部長は会見で「台帳の記録と処方箋を照合するなどしていた」と釈明したが、管理の甘さに加えて対応の遅れも問われそうだ。

 コカインは一般の外来・入院患者も行き来する通路からほど近い調剤室で、金庫に保管されていた。金庫の鍵は近くの鍵箱で保管。薬剤部には一般の人が立ち入ることはないものの、同部の薬剤師や事務職員計約40人だけでなく、部外の医師や看護師らも出入りすることがあったという。

 同病院は管理が不十分だったとして、鍵箱に鍵をつけたほか、遅くとも来週半ばには、金庫の出し入れを記録する監視カメラを設置する。

 21日夕方からは、原因解明のための調査委員会を初めて開催した。今月上旬、外部の病院関係者に委員就任を依頼をしていたが、初会合はこの日にずれこんだ。会合では委員長に腰地孝昭副病院長を選出。週明け25日から当面、薬剤部の薬剤師、事務職員への聞き取りを始めることを決めた。

 11月半ばに、同病院から麻薬取締法に基づく届け出を受けた県は、約10グラムという不明量を「通常の秤量(ひょうりょう)誤差とは考えにくい」(医薬食品・衛生課)とし、管理体制の改善を指導。既に改善内容の報告を受けている。同課によると、書類が残っている過去3年間に事件性のある薬剤の所在不明はないという。

 同病院では2005年12月、女性医師が麻酔剤を不正に持ち出し自分に注射して死亡している。」



コカイン約10グラムは,誤差として処理するのはあまりも多すぎます.
神戸地裁は,2012年10月33日,篠山市の或る耳鼻咽喉科の院長が,治療以外の目的でコカインを使用したとして,院長に麻薬取締法違反の罪で懲役1年6月執行猶予3年の刑を言い渡しました.本件のコカイン紛失が,犯罪によるものでなければよいのですが.

【追記】

福井新聞「コカイン紛失問題、原因特定できず 福井大病院、管理の不備認める」(2013年2月13日)は,次のとおり報じました.
 
「昨年に医療用「塩酸コカイン」11・8グラムが紛失していた問題で福井大医学部附属病院は13日、福井県永平寺町の同大で会見し、外部有識者を含む調査委員会の報告内容を発表した。紛失原因は特定できず、窃取の可能性が高いと結論付けた。薬物の管理体制に不備があったことを認めた。調査は終結した。

 同病院によると、調査委は2月6日までに薬剤師や事務職員計42人に聞き取りを実施。報告では、コカインの調剤経過を示す帳簿の記載忘れなどは考えにくいとした。原因特定につながる証言はなかった。

 その上で薬剤部の管理・報告体制の不備に言及。麻薬残量の確認は目視のみで正しい手順が守られていなかったと指摘し、薬剤部長の事態把握からの「報告の遅延」を認めた。部内には病院関係者や業者なら自由に出入りできた上、コカイン瓶を入れる金庫の鍵を無施錠の箱で保管していた点も問題視した。

 会見で和田有司病院長らはあらためて謝罪。再発防止策として▽鍵箱に鍵をつける▽薬剤部内に複数の監視カメラを設置し、出入り口にカード式セキュリティーシステムを導入▽残量確認の徹底―などを挙げた。後日、関係した薬剤部長らを処分するとした。

 コカインは昨年1~7月の間に調剤室で不明になった。薬剤部長は把握から約4カ月後に病院長に報告した。同病院は当初、コカインの紛失量を約10グラムとしていたが、その後の詳しい調査で数値を訂正した。

 同病院は昨年11月に永平寺署に盗難届を提出しており、同署は窃盗などの疑いがあるとみて捜査している。」


【再追記】

読売新聞「ずさん管理でコカイン紛失、福井大病院を捜索」(2013年5月16日)は,次のとおり報じました.

「福井大病院(福井県永平寺町)で、昨年、麻酔用の「塩酸コカイン」11・8グラムがなくなった問題で、県警捜査一課などは15日、麻薬取締法違反容疑で同病院を捜索し、医薬品など数十点を押収した。

「県警は、同病院のずさんな薬品の管理が、コカイン紛失の原因になったとみている。

 家宅捜索は午前9時45分頃から、約10人態勢で3時間半にわたって行われた。

 同病院によると、コカインは薬剤部調剤室の保管金庫内のビンに入っていたが、昨年1月から7月の間に4回にわたって計11・8グラムが紛失し、同年11月に盗難の被害届を提出した。県警は窃盗事件として捜査している。

 麻薬取締法では、コカインは施錠した金庫などで保管するよう定めているが、薬剤部の部屋は鍵がかかっておらず、金庫の鍵も無施錠の箱に入れるなど、管理がずさんだった。同病院は今年2月に「内部の職員を含む何者かに盗まれた可能性が高い」との調査結果を公表していた。

 同病院総務管理課の綿矢憲之課長は「なくなったのはただの薬ではない。今後も捜査に協力して、問題を解決したい」としている。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-12-23 23:22 | 医療