弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

川端康成氏『伊豆の踊子』

川端康成氏は,2歳のときに医師の父栄吉氏を亡くしています.
「栄吉」という名前は,『伊豆の踊子』の旅芸人に使われています.
旅芸人の一座は,栄吉24歳,おふくろ40歳代,千代子19歳,百合子17歳,薫14歳です.

「物乞ひ旅芸人村に入るべからず」という立札は,この小説のキーワードです.
この旅芸人は異界の人たちであり,亡き父の分身である栄吉らとの旅によって孤児根性からの離脱を実現する,という解釈もありそうです.
吉永小百合さんと高橋英樹さんが主演した映画『伊豆の踊子』では,大坂志郎さんが「栄吉」を演じていて,「栄吉」の役割がよくわかります.

「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい速さでふもとから私を追って来た。私は二十歳、高等学校の制帽をかぶり紺がすりの着物にはかまをはき、学生カバンを肩にかけていた。一人伊豆の旅に出てから四日目のことだった。修善寺温泉に一夜泊まり、湯ケ島温泉に二夜泊まり、そして朴歯の高下駄で天城を登って来たのだった。重なり合った山々や原生林や深い渓谷の秋に見とれながらも、私は一つの期待に胸をときめかして道を急いでいるのだった。」

『伊豆の踊子』の冒頭はこのように現在形と過去形が入り交じり,別世界が始まります.


私は,12月28日,仕事で伊豆に行ってきました.予報どおり午後3時すぎから雨になりました.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-30 02:47 | 趣味