弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

コンフリクト・マネジメント学会のシンポジウム,内野氏,宮脇氏,河上氏の発言

CBニュース「患者・家族に事実を正直に話せるか-コンフリクト・マネジメント学会がシンポ」(2013年2月1日)は,次のとおり伝えました.

◆ 社会保険相模野病院院長の内野直樹氏

「社会保険相模野病院の内野直樹院長は、院内で有害事象が発生した場合、患者・家族に本当のことを話し、嘘をつかないことが重要とした。」

「社会保険相模野病院(神奈川県相模原市)の内野直樹院長は、院内で有害事象が発生した場合、患者・家族に本当のことを話し、嘘をつかないことを職員に要請している。また、情報開示や説明は、患者・家族から指摘される前に行う必要があると話す。
 内野氏は、事故調査委員会に関するアンケートを外部の病院に対して行ったところ、委員会開催に賛成する意見が圧倒的だったと言う。さらに、委員会には外部委員が必要かどうかを尋ねても約9割以上が「必要」と回答した。
 しかし、誰が外部委員になるかについて尋ねたところ、医療や事故の専門家は多く上がっても、有害事象の被害者をメンバーに入れるという意見は極めて少なかったという。また、事故調査委員会による調査結果の公表については、約半数が「公表しなくてもよいのではないか」と回答していた。
 内野氏は、このようなアンケート結果から見えることとして、医療者が「患者さんが怖いのではないか」といい、そのような話を(医療者から)公式にも、非公式にも聞くことがあるという。有害事象に関する情報を開示することで、クレームや訴訟になったり、メディアの餌食(えじき)になって、病院がつぶれないか、などを心配する関係者もいるという。内野氏が情報公開をしても、つぶれないのではと問いかけに対しても、公立病院と違って、民間病院は誰も助けてくれないといった声もあった。
 内野氏はまた、情報公開や対話が進まないほとんどの原因は、「われわれ医療従事者にあるのではないか」と、問題を提起。病院が医療過誤を隠ぺいしても、内部告発などで事実が公にされ、病院のトップが記者会見で頭を下げるといったテレビ映像を見ていれば、患者は医療機関を信用しなくなるとした。内野氏はそのような中で、結果が悪ければ、すべて医療過誤だろうという認識が徐々に広まってしまうことが、非常に残念とした。
 内野氏は、患者側にも責任があるのではないかと指摘。事実として何があったか確認することと、懲罰的な制裁を加えようと追及することは、決して同じではないと言い、「起こりうる合併症や期待に反する結果がすべて医療過誤ではないことを、少し分かってほしい」とした。
 また、医療者側に瑕疵(かし)や過誤がないとしても、いたわりの気持ちを表していくほか、事故調査委員会を積極的に開催し、自浄能力を示していく必要があるとした。
 このほか内野氏は、医療従事者は、日々おびえながら診療していると言い、それによって委縮的な医療につながれば、お互い幸せではないとした。その上で、「このあたりを少し理解してもらい、多少われわれに寛容なところを示していただければありがたい」と述べた。」


◆ 医療過誤原告の会会長の宮脇正和氏
 
「医療過誤原告の会の宮脇正和会長は、有害事象の被害者は原因を本当に知りたいと思うので、一番最初にできる限り情報を提供することがとても大事と言う。
 また、医療上の責任のあるなしに関わらず、期待に添えなかったことに対しての申し訳なさを伝える「共感表明謝罪」を行うと、多分紛争にはつながらないのではないかと述べた。
 宮脇氏は「至らないことが多々あるが、そういうことを正直に話すことが、被害者にとっても一番支えになる」とした。
 正直に対応する方法として、関係書類をすべて公開することを挙げた。そして、患者・家族の側で内容が理解できるように話してほしいという。また、正直に話すということが定着していけば、院内での対応や連携も進むのではないかと話す。
 事故の原因を調べるほど、システム上の問題であることがはっきりしてくるし、情報の共有もできると言う。また、個人の責任にしないことで、職員も安心して働けるのではないかと指摘した。
 宮脇氏は、病院が防衛に入ると、被害者は本当の原因をますます知りたくなると言う。医療事故の裁判は、訴えても勝つことが難しく、とても過酷な裁判だが、そのような状況でも訴訟に持ち込まざるを得ない状況に追い込まないでほしいと訴えた。」


◆ 武蔵野赤十字病院患者相談室室長河上章恵氏

「武蔵野赤十字病院の河上章恵・患者相談室室長は、医療メディエーターの立場から、患者・家族への情報開示と対話のあり方について報告した。
 同院では、事故が起こった場合、その経過を時系列にまとめるといい、その表を、事例によっては患者・家族に渡すこともある。そして、できるだけ早期の情報提供を心掛けるが、その場で示せなくても、事故の原因や防止策を、患者・家族に対して報告する場を設けているという。

 河上氏は、患者・家族と対話を進める上で、謝罪が重要と強調。そうしなければ、感情がこじれてしまうケースもあると指摘する。また、事故が起こってしまうと、患者・家族は誰と話をすればよいのか分からず、事故を起こした職員も身動きが取れなくなると言う。このような場合、医療メディエーターが院内を調整し、患者・家族、医療者を継続的に支援する必要があるとした。」


それぞれの患者・家族の意向を無視して,一律に同じ方法では,かえってトラブルになるでしょう.
話すタイミング,話す内容,伝え方について,患者側の決定を尊重することが必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-02-01 20:57 | 医療