弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

札幌市消防局救急隊,酸素量を調整する装置のバルブをまた開け忘れ19分,患者死亡(報道)

毎日新聞「<札幌市消防局>酸素バルブ開け忘れ男性死亡」(2013年2月2日)は,次のとおり報じました.

「札幌市消防局は2日、火災現場から心肺停止状態の札幌市南区の男性(58)を救急搬送する際、人工呼吸の酸素ボンベのバルブを開け忘れるミスがあったと発表した。男性は搬送先の病院で間もなく死亡。死因は一酸化炭素中毒で、ミスとの関連を調べている。

 市消防局や北海道警によると、火災は2日午前1時50分ごろ、同市南区のマンションで発生。南消防署の救急隊が男性を救急車に収容し、手動式の人工呼吸器を使用する際、30代の隊長が酸素ボンベの元栓は開けたものの、酸素量を調整する装置のバルブを開け忘れたという。19分後に合流した市立札幌病院の医師が気づき、酸素投与を開始した。隊長は「切迫した状況で確認を怠った」と話しているという。

 同消防局では昨年4月にも、同様に酸素ボンベのバルブを開け忘れるミスがあり、70代の男性が死亡。市の調査で男性の死亡との因果関係は否定されたが、隊員の研修を強化するとともに、バルブの開閉が必要ない器具の早期導入を検討している。遠藤敏晴消防局長は「再び発生したことは遺憾。市民の信頼回復に努める」とのコメントを出した。【山下智恵】」


北海道新聞「酸素バルブまた開け忘れ 搬送の重体男性死亡 札幌市救急隊」(2013年2月3日)は,次のとおり報じました

「札幌市消防局は2日、心肺停止状態だった同市南区の無職栗栖勉さん(58)を救急車で搬送する際、救急隊隊長で30代の男性救命士が、患者に酸素を送る装置のバルブを開け忘れ、約19分間、高濃度酸素が送られないミスがあったと発表した。栗栖さんは搬送先の病院で、約9時間後に死亡した。同局は昨年4月にも同様のミスを起こしており、搬送した70代の男性が死亡している。

 札幌南署と同局によると、2日午前1時50分ごろ、同市南区石山1の3、マンション「サンセレクト石山中央」(鉄筋コンクリート5階建て、50戸)5階の栗栖さん方から出火、居間の一部を焼いた。同2時ごろに119番通報があり、煙を吸い、心肺停止状態の栗栖さんを中央区の病院へ搬送した。

 その際、救命士が人工呼吸器で救命措置を行った。酸素量を調整する装置のバルブを開け忘れたため、通常の空気は送られるが、脳の損傷を抑える効果があるとされる高濃度酸素は送られなかった。搬送開始から約19分後に車に乗り込んだ医師が気付き、酸素吸入を開始。救急車は搬送開始から約30分後に病院に到着した。

 同署によると、栗栖さんは搬送先の病院で約9時間後に死亡が確認され、死因は一酸化炭素中毒。同局は遺族に経緯を説明して謝罪するとともに、今回のミスと死亡との関連を調べている。」


ミス(注意義務違反)があっても,結果(死亡)との因果関係が認められなければ,賠償責任はありません.
しかし,ミスされた患者の家族には,因果関係の有無とは別に,ミスされたこと自体で無念さが残ります.また,ミス(注意義務違反)があっただけでも,原因を調査し有効な再発防止策を講じる必要があるでしょう
バルブを開け忘れるというミスは起こりうることなので,バルブを開けたことを確認するという手順を定め必ず遵守することが必要といます.

【追記】

共同通信「札幌の救急車、酸素バルブを変更」(2013年2月5日)は,次のとおり報じました.

「札幌市消防局は5日、救急搬送時に人工呼吸器に酸素を送る装置のバルブを開け忘れたミスが続いた問題で、人工呼吸器をバルブ操作が不要なタイプに変えることを決めた。人為的ミスを防ぐ。

 市消防局によると、新しいタイプは、酸素を送る装置に取り付けるだけで自動的に酸素が送り込まれる。月内に31隊ある全ての救急隊に1個ずつ配備する。

 市の救急隊は昨年4月、心臓疾患で心肺停止状態となった男性を搬送した際、バルブを開け忘れた。今月2日にも、火災現場で救出された男性を運ぶ際、同様のミスを繰り返した。男性はいずれも病院で死亡した。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-02-03 11:42 | 医療