弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本透析医学会,「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」への意見募集

日本透析医学会,「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」への意見募集_b0206085_721596.jpg日本透析医学会は,『慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)』(透析会誌45(12):1085-1106,2012)を発表し,次のとおり一般からの意見を募集しています.

「日本透析医学会では、かねてより慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言の策定を目指して慎重に作業を進めてきました。
 つきましては、本提言の案に関しまして、広く皆様からのご意見等を賜りたく、本提言の案をご提示申し上げます。
 ご意見等、平成25年3月31日までに学会事務局にメイル( tosekiigakkai@jsdt.or.jp )、文書でお送り下さいますようよろしくお願い申し上げます。
平成25年1月8日
一般社団法人日本透析医学会理事長 水口 潤」


詳細は,日本透析医学会のサイトからリンクしている,PDFファイル第57 回日本透析医学会学会委員会企画コンセンサスカンファレンスより『慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)』(透析会誌45(12):1085-1106,2012)をご一読ください.現状がよくわかります.

CBニュース「終末期患者の人工透析中止で提言案-透析医学会、一般からも意見募集」(2013年2月4日)は,次のとおり報じています.

「医療チームによる慢性血液透析の見合わせ決定プロセス
 日本透析医学会は、終末期患者への透析の非導入や継続中止について、意思決定プロセスに関する提言案をまとめた。導入や継続を見合わせる「一定の状況」について具体的に記し、「意思決定能力のある終末期患者が導入・継続を拒否した場合」には、セカンドオピニオンを勧めた上で、「その意思を尊重する」とした。ホームページ上に掲載し、3月末まで、会員や関連団体のほか、一般からも意見を募集する。6月の学術集会までに提言をまとめる予定。


 提言案では、担当医師、看護師、臨床工学技士らでつくる医療チームが透析の導入・継続を見合わせる「一定の状況」を、「あらゆる対策を講じても終末期患者の透析療法が技術的にきわめて危険か困難で、実施自体が生命予後へ悪影響を及ぼす」「意思決定能力のある終末期患者が導入・継続を拒否」「意思決定能力がない終末期患者の家族が導入・継続を拒否」の3つの場合に分類し、見合わせるためのプロセスをそれぞれ明記した。

 このほか、▽患者に事前指示書の作成を勧め、患者の意思がわからない場合でも家族と意思を推定して患者の意思を尊重する▽家族がいない場合には自治体の福祉担当者を家族と同義に扱う▽透析導入前に同意書を取得する-などを、患者の意思決定を尊重する枠組みとして盛り込んだ。

■非導入経験の医療者67%、継続中止は71.2%

 日本透析医学会が提言に取り組む背景には、患者の高齢化などにより、合併症のために継続が困難になった患者や、重度の認知症などで意思表示の難しい患者などが増えている一方で、尊厳死が法的に保証されていない現状では、刑事訴追の可能性などから医師が判断に悩む構図がある。ただ、提言案でも、「本提言(案)に沿って慢性血液透析療法の見合わせを実施した場合でも、法的責任を問われる可能性がある」と留意を求めている。

 透析の非導入を経験した医療者は67%、継続中止は71.2%-。提言の参考にしようと学会が2011年に、医師111人を含む163人の会員に実施したアンケートでは、医療者の多くが、臨床現場でこの問題に向き合っている現状が浮かび上がった。学会は同じアンケートに、「非導入・継続中止という言葉は適切と思うか」と質問を設け、結果的に提言案では「見合わせ」という言葉を用いている。【大島迪子】」



人工透析は約30万人の生命を維持しています.それには膨大なコストがかかっています.
透析療法自体が死亡をもたらす危険が高いケースもあります.
人工透析を望む患者がすべてではないとすれば,患者の意思を確認するにはどのような手続きが適切なのでしょうか? とくに意思確認が難しい患者についてはどうすればよいのでしょうか? 「尊厳死」の要件との関係は? など検討すべき問題があり,多様な考えがあると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-02-05 07:11 | 医療