弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

厚労省,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の国内での確認状況

新しいダニ媒介性疾患「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)」の症例が国内で2例確認されたとのことです.

・愛媛県(成人男性1名:昨秋に死亡。最近の海外渡航歴なし。)
・宮崎県(成人男性1名:昨秋に死亡。最近の海外渡航歴なし。)


※ 愛媛県と宮崎県が他の地域に比べて特に危険だということではなく,日本全国どこでも発生し得る感染症です.


厚労省,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の国内での確認状況ご参照

「1 疾病名
重症熱性血小板減少症候群
(Severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)

2 病原体
SFTS ウイルス(ブニヤウイルス科フレボウイルス属)

3 発生状況
・ 2009 年3 月~7 月中旬にかけて、中国中央部(湖北省及び河南省の山岳地域)で、原因不明の疾患が集団発生したことで本感染症の存在が明らかとなり、2011 年に原因ウイルスであるSFTS ウイルスが確認された(現在は7省で報告あり)。発生地域では、フタトゲチマダニ等のマダニがSFTS ウイルスを保有しており、このウイルスに感染した哺乳動物も見つかっている(動物の発症は確認されていない)。
・ 2009 年、米国ミズーリ州においてSFTS 様疾患の症状を示す患者が2 名発生し、患者検体からSFTS ウイルスと近縁なウイルスが検出された。
・ 過去に日本を含む世界の他の地域での発生報告はない。

4 感染経路
・ フタトゲチマダニ等のマダニによる咬傷(ただし、ダニによる咬傷痕が確認できない場合も多い)
・ 感染患者の血液・体液との接触感染も報告されている。

5 症状
・ 発熱、倦怠感、食欲低下、消化器症状、リンパ節腫脹、出血症状
・ 潜伏期間は6 日~2 週間
・ 致死率は約10-30%(中国において、2009 年当初は報告例が少なく致死率30 数%であったが、その後調査が進み、10 数%となっている)

6 検査所見
血小板減少(10 万/mm3 未満)、白血球減少、血清電解質異常(低Na 血症、低Ca 血症)、血清酵素異常(AST、ALT、LDH、CK 上昇)、尿検査異常(タンパク尿、血尿)

7 病原診断
・ 血液等のサンプルからのウイルスの分離・同定及びRT-PCR によるウイルス遺伝子の検出
・ 急性期及び回復期におけるウイルスに対する血清中IgG 抗体価、中和抗体価の有意な上昇の確認、又は、IgM 抗体の検出(現在、国立感染症研究所ウイルス第一部で実施可能)

8 治療
・ 特異的な治療法はなく、対症療法が主体となる。
・ 有効な抗ウイルス薬はない(中国では、リバビリンが使用されているが効果は確認されていない)。

9 予防法
・ 野外でダニに咬まれないようにする。
・ 感染者の血液、体液、排泄物との直接接触を避ける。
・ ワクチンはない。



重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A<一般向け>

問1 重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)とはどのような病気ですか?
答 2011 年に初めて特定された、新しいウイルス(SFTS ウイルス)に感染することによって引き起こされる病気です。主な症状は発熱と消化器症状で、重症化し、死亡することもあります。

問2 重症熱性血小板減少症候群は、世界のどこで発生していますか?
答 中国では、2009 年以降、7 つの省(遼寧省、山東省、江蘇省、安徽省、河南省、河北省、浙江省)で症例が報告されています。また、米国ミズーリ州においては、SFTS ウイルスに似たウイルスによる重症熱性血小板減少症候群様の症例が2 例報告されています。

問3 日本で重症熱性血小板減少症候群は発生していますか?
答 これまで日本国内で重症熱性血小板減少症候群の報告はなく、2012 年の本症例が初めての報告です。

問4 今回の日本の患者は海外で感染したのですか?
答 患者に最近の海外渡航歴はなかったため、日本国内でウイルスに感染したと考えられます。ただし、詳細な感染経路については分かっていません。

問5 SFTS ウイルスにはどのようにして感染するのですか?
答 中国では、多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染しています。

問6 マダニは、屋内で普通に見られるダニとは違うのですか?
答 マダニと、食品等に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、家庭内に生息するダニとでは種類が異なります。マダニ類は、固い外皮に覆われた比較的大型(吸血前で3~4mm)のダニで、主に森林や草地等の屋外に生息しており、市街地周辺でも見られます。広くアジアやオセアニアに分布しますが、日本でも全国的に分布しています。

問7 どのようなマダニがSFTS ウイルスを保有しているのですか?
答 中国では、フタトゲチマダニやオウシマダニといったマダニ類からウイルスが見つかっています。これらのマダニが活動的になる春から秋に、患者が発生しています。

問8 マダニに咬まれたことにより感染する病気は他にありますか?
答 日本紅斑熱、ライム病など多くの感染症がマダニによって媒介されることが知られています。また、マダニではありませんが、ダニの一種であるツツガムシによって媒介される、つつが虫病などもあります。上記疾患の日本国内での年間報告数はそれぞれ180 件、10 件、400 件程度です。

問9 この病気にかからないために、どうように予防すればよいですか?
答 マダニに咬まれないようにすることが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては注意しましょう。これは、重症熱性血小板減少症候群だけではなく、国内で毎年多くの報告例がある、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の疾患の予防のためにも有効です。草むらや藪などマダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくすることが大事です。また、屋外活動後はマダニに刺されていないか確認して下さい。現在のところSFTS ウイルスに対して有効なワクチンはありません。

問10 国内で患者が報告された地域は特に感染の危険が高いのですか?
答 SFTS ウイルスを媒介すると考えられるマダニ類は全国に分布するので、今回患者が報告された地域が他の地域に比べて特に危険だということではありません。全国どこにおいても発生し得る感染症と考えられます。

問11 マダニに咬まれたら、どうすればよいですか?
答 マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いもので10 日間)吸血します。無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまうことがあるので、吸血中のダマニに気が付いた際は、できるだけ病院で処置してもらってください。また、マダニに咬まれた後に、発熱等の症状が認められた場合は、病院を受診して下さい。

問12 ヒト以外の動物もマダニに咬まれて重症熱性血小板減少症候群にかかるのですか?
答 一般に、マダニ類は野外でヒトを含む多くの種類の動物を吸血することが知られています。中国の重症熱性血小板減少症候群の流行地域では、SFTSウイルスに感染している動物もいることが分かっています。ただし、動物が発病するかどうかは確認されていません。

問13 SFTS ウイルスは以前から日本にいたのですか?
答 ウイルス自体は以前から国内に存在していたと考えられます。今回、初めて患者が診断されましたが、今後、厚生労働省は、更なる調査研究を進め、実態解明に努めます。



対策は,マダニに咬まれないようにすることなんですね.

【追記】

さらに,以下の発症例が報告されています.

高知県(80代の女性1名:平成24年4月に発症。)
佐賀県(80代の男性1名:平成22年8月に発症。マダニの咬着あり。)
長崎県(50代の男性1名:平成17年11月に発症。)


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-02-14 03:15 | 医療