弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療法人北斗会さわ病院の元看護師を殺人(未必の故意)被疑で逮捕(報道)

読売新聞「認知症の入院患者を殺害容疑、元看護師逮捕」(2013年2月20日)は,次のとおり報じました.

「大阪府豊中市の医療法人北斗会「さわ病院」で昨年9月、認知症で入院していた患者が窒息死した問題で、大阪府警豊中署は20日、当時同病院の看護師だった東京都国立市富士見台3、無職××××容疑者(34)を殺人容疑で逮捕した。

 ××容疑者は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。

 発表によると、××容疑者は、当直だった昨年9月22日午後10時頃、ベッドで声を上げたり、手足をばたつかせたりしていた男性患者(当時79歳)をうつぶせにし、上半身に布団を巻き付けるなどして放置し、殺害した疑い。

 病院は昨年10月、××容疑者を解雇した。

 患者の死因は胃の内容物をのどに詰まらせたことによる窒息死。××容疑者は、以前からこの患者を看護して胃の内容物が逆流しやすい症状を知っていたといい、同署は、うつぶせにし、布団で寝返りできないようにした行為には、積極的殺意がなくとも、相手が死ぬかもしれないと認識する「未必の故意」があったと判断した。」


「未必の故意」の意味について,学説の対立があります.
現在は,次の2つの説が有力なようです.
「結果発生の可能性を認識し,かつ,その発生を認容していた場合」(認容説)
「結果発生の蓋然性が高いと認識していた場合(蓋然性説)

認容説からは,「男性患者(当時79歳)をうつぶせにし,上半身に布団を巻き付けるなどして放置すると,死ぬ可能性を認識し,かつ,死ぬことを認容(死んでもよい)していた場合」が「未必の故意」にあたります.
蓋然性説からは,「男性患者(当時79歳)をうつぶせにし,上半身に布団を巻き付けるなどして放置すると,死ぬ蓋然性が高いと認識していた場合」が「未必の故意」にあたります.

どちらにしても,行為者の内心の事情なので,自白強要,自白偏重にならないよう,大阪府警には慎重に捜査していただきたい,と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-02-20 21:28 | 医療事故・医療裁判