弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

イレッサ訴訟,最高裁で遺族側が全面敗訴の見通し

朝日新聞「肺がん薬イレッサ訴訟、遺族側が全面敗訴へ 最高裁決定」(2013年4月2日)は,次のとおり報じました.
 
「肺がん治療薬「イレッサ」の副作用をめぐり、死亡した患者2人の遺族が、販売元のアストラゼネカ(大阪市)と国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(寺田逸郎裁判長)は2日、国への請求について原告の上告を受理しない決定をした。国の賠償責任を否定した2011年11月の二審・東京高裁判決が確定した。

 一方、アストラゼネカへの請求については同日、原告の上告を受理し、判決期日を今月12日に指定した。ただ、二審の結論を見直す際に必要な弁論を開かないため、アストラゼネカの賠償責任も否定した同判決が維持され、遺族側の全面敗訴が確定する見通しだ。」


NHK「イレッサ訴訟 遺族側敗訴確定の見通し」(2013年4月2日)は,次のとおり報じました.

「肺がんの治療薬「イレッサ」の投与を受けたあとに死亡した患者の遺族らが国と製薬会社を訴えた裁判で、最高裁判所は今月、判決を言い渡すことを決めました。
判断を変える際に必要な弁論が開かれないため、患者側が逆転敗訴した2審の判決が確定する見通しです。

この裁判は、肺がんの治療薬「イレッサ」の投与を受けたあとに重い肺炎で死亡した首都圏などの患者の遺族が薬を承認した国と輸入販売元の製薬会社に賠償を求めたものです。

1審は国と製薬会社に賠償を命じましたが、2審の東京高等裁判所は「警告が不十分だったとはいえない」と判断して患者側逆転敗訴としたため、遺族が最高裁判所に上告していました。

この裁判で、最高裁判所第3小法廷は国に対する上告を退けるとともに、製薬会社への上告については今月12日に判決を言い渡すことを決めました。

この結果、国の責任を認めなかった判決が確定したほか、製薬会社についても判断を変更する際に必要な弁論が開かれていないため、患者側敗訴の2審の判決が確定する見通しです。
イレッサを巡っては、大阪でも裁判が起こされ、2審で訴えを退けられた患者側が最高裁に上告しています。

次女を亡くした原告の近澤昭雄さんは「イレッサの販売方法は間違いだったと今も強く思っていて、10年間訴え続けただけに残念です。医療の現場が薬の副作用の説明などで気をつけるようになってきただけに、最高裁の判断がよくない影響を与えるのではないかと懸念しています」と話しました。」


残念です.

【追記】

薬害イレッサ訴訟東日本訴訟弁護団のコメントは,以下のとおりです.

「本日、最高裁より、国に対する上告を受理しない旨の決定があった旨連絡を受けました。
これにより、薬害イレッサの被害について国の法的責任を否定する判断が確定したことになります。
しかし、販売から半年で180人、2年半で557人もの死亡者を出した本事件は、国と企業が防ぎ得た薬害であった事実には変わりがないと考えています。
最高裁の判断は極めて遺憾です。
私たちは、国に対し、二度とこのような被害が生じないよう、薬害イレッサ事件の教訓を、十分に薬事行政に生かすことを強く求めるものです。

なお、アストラゼネカ社との関係について、4月12日に判決期日が予定されています。
同日、記者会見を予定しております。
原告団・弁護団の声明は、国に対する関係も含め、その際に発表する予定です。」


厚生労働省の「イレッサ東京訴訟(最高裁決定)に対するコメント」は以下のとおりです.

「昨日、最高裁判所で、イレッサ東京訴訟に関し、国に対する関係で、原告らの上告を棄却するとともに上告審として事件を受理しない旨の決定がありました。
 これまでの裁判の中で、国として法的な責任はない旨を主張してきたことが認められたものと考えています。
 なお、厚生労働省としては、本件の結果にかかわらず、引き続き医薬品の安全性の確保に万全を尽くしていきます。

(参考)東京訴訟の経過
   平成23年 3月23日 東京地裁判決 (国・会社一部敗訴)
           4月 5日 国控訴 
          11月15日 東京高裁判決 (国・会社への請求を棄却)
   平成25年 4月 2日 最高裁決定  (国に対する関係で、原告らの上告を
                            棄却・不受理)
                  ※ 会社への請求は、上告が受理される予定」

                                          

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-04-02 19:48