弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

全国ハンセン病療養所入所者協議会会長講演,ハンセン病療養所の現状と課題

大分合同新聞「深刻なハンセン病問題 大分市で講演」(2013年04月07日)は,次のとおり報じました.

 「全国13の国立ハンセン病療養所の入所者でつくる「全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)」の神(こう)美知宏会長(79)=東京都=が6日、大分市で講演した。2001年に国家賠償請求訴訟の熊本地裁判決で全面勝訴、08年には「ハンセン病問題基本法」が制定され、ハンセン病問題は一見解決したかにも見えるが、「全く解決していない。療養所では今も人権や人間としての尊厳は横に置かれ、苦しんでいる人がたくさんいる」と指摘。「市民の皆さんにしっかり認識してもらうことが解決の糸口になる」と訴えた。

 神会長は福岡県出身。1951年、香川県の「大島青松園」に入所した。95年に全療協事務局長、2010年6月から会長。大分での講演は初めてで、「ハンセン病回復者の本当の人権回復と社会復帰へ向けて共に歩む会・大分」(御手洗礼子代表)が総会に招いた。

 国がハンセン病患者の強制隔離を始めてから約1世紀。「科学的、医学的根拠もないのに、誤った政策で古里から療養所へ拉致された。入所者は戸籍を抜き、偽名を使って生きてきた」。これまで約2万6千人が亡くなり、現在の入所者は約2千人。平均年齢は83歳に近く、年間約150人が亡くなっている。
 昨年、全国の療養所を訪ねて歩き、「想像を超える悲惨な状況が続いている」と肌で感じた。行革で療養所の職員は減少。病気は治癒しているが、高齢や後遺症などのため自力で食事を取れなくなった入所者の介助が十分できず、誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなる人も少なくないという。

 「これほど人間の尊厳が失われている図があるのか。国は最後まできっちりみとるべきだ」
 この先、入所者が減っていく療養所をどうするかも課題。「療養所は負の遺産。二度と過ちを犯さないよう、何らかの形で残すべきだ」と神会長。
 「ハンセン病問題は人ごとではない、という人が増えることが、国を動かすことにつながる」と呼び掛けた。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-04-07 23:47 | 医療