弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

碧南市民病院,病理医と外科医の相互確認不徹底等のため胃がんの経過観察等を行わず転移で提訴される(報道)

中日新聞「碧南市民病院でがん細胞見落とす医療過誤」(2013年4月30日)は,次のとおり報じました.

 「愛知県碧南市民病院が県内在住の40代女性の胃を手術で切除した際、がん細胞を見落として「悪性でない」と診断し、追加治療をしない間にがんが転移したことが分かった。碧南市が30日、医療過誤として発表した。

 市によると、女性は2009年春に別の医療機関で胃がんと診断され、市民病院に入院。胃の3分の2とリンパ節を取る手術を受けた。その後、市民病院は摘出した胃の検査で「胃潰瘍であって、がんではなかった」と誤った判断をした。その後、経過観察や抗がん剤治療などをせず、2年後に腹膜へがんが転移したことが確認された。病院で保管した女性の胃の標本を再診断し、がん細胞の見落としが分かった。

 市は女性に事実を説明して謝罪。女性は現在も市民病院で、がんの治療を受けている。市は賠償金交渉を進めてきたが示談が不調となり、女性側は3月に名古屋地裁に提訴した。

 市は、60代の病理医と、主治医だった60代の外科医の間での相互確認の不徹底などが原因としている。記者会見した梶田正文院長は「患者に深くおわびし、院内の体制を見直していく」と話した。」


毎日新聞「碧南市民病院:胃がんを潰瘍と誤診、治療2年放置 患者側が賠償提訴」(2013年5月1日)は,次のとおり報じました.
 
「碧南市が経営する同市平和町の碧南市民病院は30日、胃がんの患者を胃潰瘍と誤診し、約2年後に気づくまでがん治療を放置する医療過誤があったと発表した。同病院は全面的に非を認めて患者に謝罪するとともに、損害賠償の示談交渉に入ったが、患者の同意を得られず、患者が3月に同市を相手取って損害賠償訴訟を名古屋地裁に起こした。

 病院によると、患者は県内の40代女性。女性は09年に民間病院で胃がんと診断され、紹介によって市民病院で胃の3分の2を切除する手術を受けた。ところが、入院10日目に切除部分のがん細胞を調べた結果、「胃潰瘍で、悪性の胃がんではない」と診断された。同13日目に退院し、経過観察も受けなかった。

 しかし、退院の約2年後に腹痛症状で救急外来を訪れ、検査の結果、腹膜からがん細胞が見つかった。2年前に切除した手術標本を再度調べたところ、がんであることを見逃していたことが分かった。女性は現在、入退院を繰り返し、治療に当たっているという。

 梶田正文病院長は「誠に申し訳なく、深くおわびする。主治医と病理診断医師は60歳代でベテランだったが、民間病院の診断結果と異なる結果が出た時点で、再度詳しく検査すべきだった。患者さんには最高の治療を施していく」と話している。【安ケン教雄】」


切除部分の標本から悪性の所見が得られなかった場合,病理医は標本のスライスからやり直し悪性の所見が得られるまで徹底して調べるものではないでしょうか.主治医も,普通は,病理医に詳細な再検査を求めるでしょう.
また,切除部分の標本から悪性の所見が得られなかったとしても,主治医は,術前診断等から胃がんとして扱い経過をみていくと,患者に説明し,経過観察等を行うものではないでしょうか.
本件は,病理診断医のみならず,主治医である外科医の責任も大きいのではないか,と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-05-02 06:35 | 医療事故・医療裁判