弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

熊本大医学部附属病院、検体を取り違え別人の肺を切除

熊本大学医学部附属病院は、平成25年9月20日、以下のとおり「医療事故の発生について」を発表しました.
 
「本院において、病理組織検査で検体を取り違えたために、本来手術の必要のない患者様に手術をするという医療事故が発生しました。
患者様並びにご家族に、今回のような事態を招いたことを深くお詫び申し上げます。
事故の概要及び経緯については、次のとおりです。

1.平成25年6月下旬の同じ日に、患者A様(50歳代の女性)と患者B様(80歳代の男性)が、肺がんの疑いで、本院においてCT下肺生検を受けられました。

2.両患者様の検体が病理部に提出され、技師が迅速検体処理でブロック(検体をパラフィンで固定しブロック化したもの)を作成し、それぞれのブロックへ二次元バーコードと標本番号を印字しました。その後、技師は、標本番号が印字されたスライドガラスの上にブロックから薄切した切片を貼付し、スライドガラス標本を作製しました。

3.次に、別の技師が両患者様のスライドガラス標本を染色した後、病理部医師が検鏡し、患者A様について「肺がん」、患者B様について「悪性細胞なし」と診断し、それぞれの診療科に報告しました。

4.8月中旬に患者A様に対し右肺下葉切除術が施行されました。経過良好で、8月下旬に退院されました。また、患者B様については、悪性細胞(がん)なしとの診断のため、生検翌日に退院となり、以降、外来にて経過観察とされました。

5.患者A様の手術後に診断を確認するため、診療科は切除した肺組織を一部切り出し、病理部へ診断を依頼のところ、がん細胞なしの結果でした。このため、診療科は切除した肺組織の追加切り出しを行い、その標本にて病理部が再度診断しましたが、やはりがん細胞はみられないことが確認されました。

6.9月上旬、患者A様の診療科が、他の患者様の標本と取り違えがないか、病理部に調査を依頼し、病理部で保管していたブロックとスライドガラス標本を照合したところ、患者A様と患者B様の検体が入れ替わっていることが判明しました。

7.これらの事実につきまして、それぞれの患者様及びご家族にご説明し、謝罪を行いました。

8.現在、医療安全調査専門委員会を設置し、原因究明及び再発防止策について調査・検討を行っているところです。

9.今後、本院において同様の事例が発生しないよう再発防止に向け最善の努力をしていく所存です。

10.本件については、関係機関に報告しております。」



MSN産経「検体取り違え肺切除 熊本大病院で医療事故」(2013年9月20日)は、次のとおり報じました.


「熊本大医学部付属病院(熊本市)は20日、50代の女性の病理検査で採取した検体を肺がん患者の検体と取り違え、8月に不要な手術で女性の右肺の一部を切除したことを明らかにした。逆に肺がんだった80代男性を「悪性細胞なし」と診断し、退院させていた。

 病院は、肺を切除した女性について「どのような影響が出るか分からず、経過を観察し誠心誠意対応する。一般的には、数カ月たてば日常生活に支障は生じなくなる」と説明した。

 病院によると、2人は肺がんの疑いがあったため、病院が6月下旬の同じ日にそれぞれ肺の検体を採取し、その検体からスライドガラス標本を作製。病理検査の結果、女性を肺がん、男性を悪性細胞なしと診断した。

 女性は8月中旬、右肺の下部を切除する手術を受け、下旬に退院。その後、病院が切除した肺を検査したががん細胞が見つからず、スライドガラス標本の取り違えと判明した。」



朝日新聞「検体を取り違え、別人の肺を切除 熊本大付属病院」(2013年9月20日)は、次のとおり報じました.

 「【日高奈緒】熊本大医学部付属病院(熊本市)は20日、健康な50代の女性の肺の一部を誤って切除したと発表した。手術前の検査で、がんが見つかった80代の男性患者の検体と取り違えたのが原因という。病院は患者2人に謝罪し、外部識者を交えた調査委員会を設けて原因を詳しく調べる。

 病院によると、2人はいずれも肺がんの疑いがあったため、6月下旬の同じ日に肺の組織の一部を採取する検査を受けた。検体は患者ごとにバーコードと番号のラベルを貼って管理していたが、病理部の技師が検体の一部を薄く切ってガラスに載せ、さらに別の技師が作業をした間に取り違えられた可能性があるという。ガラスにもラベルを貼っていたが、診断する医師に渡った時には2人の検体は入れ替わっていた。

 女性は誤った診断に基づいて8月中旬、右肺の下側の約3分の1を切り取る手術を受けた。その後、病院が切った組織を調べたところ、がんが見あたらず、ミスに気づいたという。女性は8月下旬に退院して自宅療養中だが、呼吸機能が低下する恐れがあり、経過観察を続けている。男性は再び検査して手術するかどうか決めるという。

 具体的にどの段階で検体が入れ替わったのかや、ラベルをつける際の確認手順はどうだったのかなどについて、病院は「調査中」としている。調査委には弁護士や別の病院の医師が参加する予定だという。

 谷原秀信病院長は記者会見で「あってはならない重大な事案。関係者に深くおわびし、再発防止に全力を尽くしたい」と述べた。」



毎日新聞「熊大付属病院:検体取り違え手術 50代女性の肺一部摘出」(2013年9月20日)は、次のとおり報じました.

「熊本大学医学部付属病院(熊本市中央区)は20日、50代の女性の肺から採取した検体を肺がんの80代男性患者の検体と取り違え、手術する必要がなかった女性を肺がんと誤認し、右肺の約3分の1を摘出していたと発表した。取り違えられた80代男性は肺がんだったが「悪性細胞なし」と診断していた。

 付属病院によると、女性は呼吸機能が低下する可能性があるが、日常生活に支障はないという。病院は医師や弁護士を含む調査委員会を設置し、詳しい経緯を調べる一方、2人に事情を説明して謝罪したという。谷原秀信病院長は「調査委員会の結論が出たら速やかに2人に説明したい」と述べたが、2人の対応については「控えたい」と明らかにしなかった。

 病院によると、2人は肺がんの疑いがあったため、6月下旬の同じ日に付属病院で肺の組織検査を受けた。病理部の技師が2人から採取した肺の組織を固めてブロックにし、一部を薄く切ってスライドガラスに貼り標本を作製したが、その際、男性の検体を貼るスライドガラスに女性の検体を、女性の検体を貼るスライドガラスに男性の検体を貼ったとみられるという。

 他の技師や医師もミスに気付かず、後日の検査で女性を肺がん、男性を「がんなし」と診断した。

 病院は8月中旬、女性の右肺の約3分の1を摘出。摘出部位からがん細胞が見つからなかったため、標本と残りのブロックを照合し、9月10日に取り違えていたことに気付いた。

 男性はミス発覚後の再検査で肺がんと診断された。病院はその時点で「検査時の6月からがんの進行はなかった」としている。男性は治療を受けているという。

 病院で記者会見した谷原病院長は「心よりおわび申し上げる。再発を防ぐため、調査委員会に原因究明をお願いしている。患者には誠心誠意対応する」と話した。【取違剛】」


これは、作業を同時並行で行ったためのミスでしょう.
一人について作業を行い、それが終わったあとで、次の人について作業を行う、これは能率が悪いかもしれませんが、確実な方法です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-20 23:27 | 医療事故・医療裁判