弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

内科皮膚科クリニックの院長医師が無診察で鍼灸の同意書を発行した疑い

読売新聞「医師、鍼灸同意書捏造か…大阪府調査へ」(2013年9月22日)は,次のとおり報じました.

「医師が特定の疾患に対して鍼灸しんきゅう治療が有効と判断した場合に発行する同意書について、患者を診察せずに発行した疑いがあるとして、近畿厚生局と大阪府が今月中にも、大阪市中央区にある内科皮膚科クリニックの院長の男性医師(46)の本格調査に乗り出す。鍼灸院が健康保険から療養費を受給するには同意書が必要。府などは、医師が鍼灸院の依頼で同意書の捏造ねつぞうを繰り返し、医師、鍼灸院ともに診療報酬や療養費を不正受給していた可能性もあるとみている。

 同意書は通常、医師が患者の名前を記したうえで患者に手渡し、患者が鍼灸院に提出して治療を受ける。

 府などによると、クリニックは2011年9月に開業。昨年末以降、健康保険の使用状況に関する通知を受け取った複数の府民から、「診察を受けたことがないクリニックで受診したことになっている」と相談があった。この医師名義の同意書を使い、鍼灸院から療養費が多数請求されているとの情報も寄せられた。

 これを受け、相談してきた府民が通う複数の鍼灸院の請求資料を調べたところ、大阪、堺両市などに住む十数人の同意書を、この医師が発行していた。府などは、医師が実際には診察せずに同意書を発行し、鍼灸院に渡したとみている。

 同意書は診断書と同様に扱われ、無診察での診断書発行を禁じた医師法に抵触する可能性もある。

 一方、医師はこの十数人に注射などの治療をしたとして診療報酬を受給していた。府などは、同意書発行のために得た患者情報を基に診療報酬を請求し、不正受給したとみて調べる。

 また、鍼灸院についても、患者の症状に基づかない同意書を使って療養費を不正受給していた疑いがあるとみている。

 この医師と鍼灸院を仲介したのは大阪市西区の医療コンサルタント会社で、同社は、同意書1通につき数千円の紹介料を鍼灸院から受け取っていたという。

 読売新聞の取材に対し、同社社長は「顧客の鍼灸院から『同意書を書いてくれる医師を教えてほしい』と頼まれ、紹介した。患者情報を医師に渡したことはあるが、診察はしていると思っていた」と話している。

 医師は「きちんと診察して同意書を発行しており、診療報酬の受給も問題ない」と不正を否定している。」


医師はきちんと診察して同意書を発行していると述べていますが,もし無診察で同意書を発行したとすれば,医師法違反にあたるでしょう.
また,患者紹介ビジネスには,いろいろ問題が多いように思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-26 02:49 | 医療