弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

愛媛大学医学部附属病院,腹腔鏡補助下で腸管を逆向きにつないだことが約1年わからなかった事案(報道)

毎日新聞「手術ミス:小児の腸管、逆向き接続 10カ月症状改善せず−−愛大病院」(2013年10月19日)は,次のとおり報じました.

「愛媛大医学部付属病院(愛媛県東温市志津川)は18日、昨年10月に実施した小児患者の胆道再建手術で、腸管を逆向きにつないでいたと発表した。今年8月に気づき、正しくつなぎ直す手術をした。小児は回復し同月末に退院したが、この間の約10カ月は症状が改善せず、不要な2回の開腹手術を受けるなどした。

同院によると、小児は腹痛とおう吐で昨年9月に別病院に入院。同10月に転院で受け入れ、当時の担当医らが、疾患のある胆管を取り除き、小児自身の腸管の一部をつなぐ胆道再建手術をした。しかし、向きを間違えていたため回復が進まず、薬物治療や今年4月までに原因を探る2度の開腹手術をした。今年5月交代した担当医が、造影検査などでミスの可能性に気づいた。

同院は「腹腔鏡を使って手術していたが、切開口が小さく、腸管の膨張もあって十分な確認ができなかった」と説明。「多大な迷惑とご心労をかけ心よりおわびする。第三者委での調査を踏まえ、再発防止に努める」と謝罪した。【中村敦茂】」


愛媛大学医学部附属病院は,2013年10月18日,「平成25年8月に判明した医療過誤について(報告)」を発表しました.原因と再発防止策について,以下のとおり述べています.

「【医療過誤に至った原因】
1回目の手術時に、腸管が膨張していたことに加え,当時の担当医は,小さな切開創で手術を行う豊富を選択していたために、腸管の一などを十分確認できない状況でした。
そのため、胆管の代わりとして用いた腸管を逆向きにつなぐこととなりました。」

「【再発防止策】
小さい切開創で手術を行う場合、十分な視野が確保できない時は、大きく切開して手術操作部位を十分確認し、また、通常の経過ではない患者さんの治療方針は、担当チームだけの判断ではなく、関連の診療科チームとも情報を広く共有し、意見を交換して決定します。
今後、医療の安全管理意識を高める教育をより充実させ,このような事故の再発防止に努めて参ります。」



本件は,平成24年10月に1回目の手術を行っていますが,平成25年5月に担当医が変わるまで1回目の手術において腸管を逆向きにつないだ疑いは浮上しなかったようです.
もし担当チームだけではなく,関連の診療科チームとも情報を広く共有し,意見を交換することができていたなら,原因を探る2度の回復手術は不要だったと考えられます.
通常の経過ではない場合の診療について教訓とすべき事案と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-20 04:22 | 医療事故・医療裁判