弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

厚労省が実名入りの内部告発メールを岩坪教授に転送していた(報道)

朝日新聞「告発メールを転送、教授に対応一任 厚労省の告発者漏洩」(2014年1月18日)は,次のとおり報じました.

「アルツハイマー病の治療法確立を目指す「J―ADNI(アドニ)」は、巨額予算が動く国家プロジェクトだ。厚生労働省は研究データが改ざんされたという内部告発メールを研究チームの責任者に転送していた。「疑惑をもみ消そうとした」との疑念を招いている。

 「国家プロジェクトで改ざん問題があったら、大変なことです」。厚労省認知症・虐待防止対策推進室の勝又浜子室長は、朝日新聞から疑惑を指摘された今月4日、身を硬くした。勝又室長はこの時、部下の担当専門官が1カ月半前に改ざんを告発するメールを受け、研究チーム代表の岩坪威東大教授に転送したことをまだ知らなかった。

 専門官は「研究班で対応していただきたい」と書き添え、調査対象者であるはずの岩坪教授に対応を一任していた。岩坪教授はアルツハイマー病研究の第一人者として著名な医師だ。専門官も医師で、「岩坪先生は雲の上の存在。技官になる前は口をきく機会もなかった」と言う。補助金の支出先を監視するのが行政の役割なのに、同じ医師の世界で遠慮やなれ合いがあったとの指摘もある。」


厚労省のサイトには,次のとおり書かれています.

「公益通報者保護制度は、国民生活の安心や安全を脅かすことになる事業者の法令違反の発生と被害の防止を図る観点から、公益のために事業者の法令違反行為を通報した事業者内部の労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを禁止するものです。

厚生労働省においては、公益通報者保護法に基づき、公益通報窓口を設置し、公益通報の受付を行うとともに、受理した公益通報については、通報に関する秘密を保持し、必要な調査を行い、通報対象事実があると認められる場合には、法令に基づく処分又は勧告等の措置を講じます。」


国家公務員法第100条1項は,「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定め,
国家公務員法第109条「次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(中略)
12.第100条第1項若しくは第2項又は第106条の12第1項の規定に違反して秘密を漏らした者」
と定めています.

つまり,通報者の実名を漏らした公務員については、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる国家公務員法109条の罪の成否を検討すべきです.


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-19 05:49 | コンプライアンス