弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

国立感染症研究所、インフルエンザ脳症死亡例の報告

国立感染症研究所は、2014年2月10日、「<速報>インフルエンザA(H1N1)pdm09 による生来健康小児の急性インフルエンザ脳症死亡例の報告―長野県」を発しました.
2014年1月中旬に、生来健康な9歳児がインフルエンザ脳症を発症し、発症から2日目に死亡した症例を報告し、次のとおり考察しています.。

「本症例はA(H1N1)pdm09による急性脳症を発症し、集中治療にもかかわらず死亡された症例である。原因微生物と思われるA(H1N1)pdm09ウイルスは、今シーズン国内からも報告され1)、重症例の報告もある2)。A(H1N1)pdm09ウイルスによる急性脳症は、2009/10年流行期には331例と、それ以前の季節型インフルエンザ流行期での急性脳症発症数に比べて多いという報告がされている(Guら)3)。今シーズンA(H1N1)pdm09ウイルスの再流行により、急性脳症症例が増加することが懸念されるため報告した。

急性脳症は、感染症(多くの場合、ウイルス感染症)を契機に急激に生じた脳機能の全般的な障害と水口4)は定義している。急性脳症は様々な分類がなされているが、本症例は、顕著なDICとショックを合併し、Hemorrhagic shock with encephalopathy syndrome(HSE症候群)に合致する。HSE症候群は、「サイトカインの嵐」を主病態とする予後不良で、急性期死亡率が高い疾患である。本症例は、救急要請から2時間半後の集中治療室入室時にはすでにショック、DIC状態と病勢が強く救命しえなかった。

本症例はインフルエンザワクチン未接種であった。本邦では小児に対して任意接種であることから、小児でのワクチン接種率は低い状態である5)。また、現行のインフルエンザワクチンでは、急性脳症予防効果に関するエビデンスはない。本症例のような急性脳症を無くすためには、今後より有効なインフルエンザワクチンの開発が望まれる。

参考文献
1) IASR 34: 343-345, 2013
2) IASR 速報(2013年12月24日)  http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-iasrs/4216-pr4073.html
3) Gu Y, et al., PLos One 2013; 8(1): e54786
4) 水口雅, 小児感染感染免疫 20(1): 43-50, 2008
5) IASR 34 : 334-336, 2013」


急性脳症症例が増加することが懸念されます.
現行のインフルエンザワクチンでは、急性脳症予防効果に関するエビデンスはない、ということです.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-02-11 03:14 | 医療