弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京地裁平成26年2月20日判決,補助人工心臓エヴァハートの被験者死亡で東京女子医大に賠償命じる(報道)

msn産経「東京女子医大に賠償命令 治験参加の女性死亡 東京地裁」(2014年2月20日)は,次のとおり報じました.

「東京女子医大病院(新宿区)で治験中の補助人工心臓を装着した女性=当時(41)=が死亡した問題で、遺族が大学側に約3100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁で言い渡された。菅野雅之裁判長は「体格が基準を満たしていないのに治験を実施した」として、約850万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は平成19年3月、治験に参加し、補助人工心臓「エバハート」の埋め込み手術を受けた。いったん退院したが約1年半後、脳出血のため死亡した。

 菅野裁判長は、手術と死亡の因果関係を認めたうえで、女性は治験対象の基準より小柄だったと指摘、「被験者保護のため基準は厳格に扱われるべきで、医師の裁量を安易に認めることはできない」とした。

 東京女子医大は「判決を詳細に見ていないので、現時点ではコメントできない」としている。」


被験者保護のためのプロトコール(protocol)に違反したことにより,民法上も違法と認定し,損害賠償を認めた判決です.
「プロトコルの内容は,現実には被験者において治験に参加するか否かを判断するに際して,唯一の客観的な資料になるものと考えられ,被験者は,治験に参加するに当たって,当然にプロトコルの内容が遵守されることを前提にしているものと考えられる。したがって,両当事者の合意内容という意味合いにおいても,プロトコルの内容は,合意の一部を形成するものというべきであるから,その違反は民事法上の違法性を有するものと認められるべきである。」と判断しました.治験におけるプロトコール(protocol)の重要性を正しく評価した判決です.
原告代理人弁護士は,医療問題弁護団の安東宏三先生,細川大輔先生,高梨滋雄先生ほかです.
東京女子医大はおそらく控訴するでしょうが,東京高裁がこの東京地裁判決を覆すのはかなり難しいのではないでしょうか.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-02-21 09:51 | 医療事故・医療裁判