弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

武田薬品の降圧剤カンデサルタン(ブロプレス),グラフが論文と宣伝で異なる

毎日新聞「降圧剤:武田薬品の宣伝に論文と別グラフ…京大病院調査へ」(2014年2月28日)は,次のとおり報じました.

 
「武田薬品工業の降圧剤カンデサルタン(商品名ブロプレス)の効果を調べた京都大、大阪大などのチームによる臨床試験について、論文のグラフと同社が宣伝に引用した際のグラフが異なっているとの専門家の指摘があり、京都大病院が調査することが分かった。

 田村憲久厚生労働相は28日の閣議後の記者会見で「状況を確認し、適切に対応したい」と話した。

 疑問点を指摘する京都大病院の由井芳樹医師の意見が、25日付の米医学誌ハイパーテンション(電子版)に掲載された。この試験は、患者約4700人を2グループに分け、カンデサルタンと別の降圧剤とで脳卒中発症などの影響を比較し、「発症抑制効果に差はなかった」などと結論付けた。2006年に学会発表し、08年に同誌で発表された。

 由井医師によると、この試験が同社の薬の宣伝に使われた際、論文にあるグラフとは異なるグラフが引用されていた。由井医師は「試験は一つなのにグラフが複数あるのは不自然。宣伝に使ったグラフの方が、持続して病気を抑える効果があるように見える」と話す。

 武田薬品は「研究チームから提供されたグラフをそのまま使った」と説明している。同社は試験の中心となった京都大EBM研究センターに07年度以降、計約6億円を提供していた。【河内敏康、八田浩輔】」


由井芳樹医師は,2012年4月,ランセット誌に,バルサルタン投与群の血圧の平均値・標準偏差と比較対照群の血圧の平均値・標準偏差が試験終了時に奇妙に一致していることを指摘した医師です.
カンデサルタンについても,バルサルタン問題と同様の展開をみせる可能性があります.

【追記】
NHK「武田薬品 薬品宣伝問題で謝罪」(2014年3月3日)は,次のとおり報じました.

「大手製薬会社「武田薬品工業」が、高血圧治療薬の臨床研究の結果を宣伝広告に使った際、データが一部書き換わり、臨床研究の結果と異なる内容の宣伝が行われていた問題で、3日、「武田薬品工業」が会見し、誤解を与える宣伝だったとして謝罪しました。

この問題は、「武田薬品工業」の高血圧の治療薬「ブロプレス」が、狭心症や脳卒中をどのくらい抑えられるかを調べた臨床研究の結果を、平成18年ごろ薬の宣伝広告に使った際、一部データが書き換わっていたほか、複数の専門家が解説する形で「ブロプレス」をより長期に使うと狭心症などになる割合が減っていくなどと、臨床研究の結果と異なる宣伝をしていたものです。
「武田薬品工業」の長谷川閑史社長らは3日会見し、臨床研究の結果と異なる宣伝をしていたことについて事実を認め、誤解を与える内容だったとして謝罪しました。
一方、データが書き換わっていた点については、会社としてはデータにはアクセスできないため、改ざんしたりねつ造したりしたことはないと述べました。
武田薬品工業は、さらに第三者機関による調査を行い、詳しい事実関係を公表したいとしています。
長谷川社長は「不適切な点があったことを深く反省しおわび申し上げます」と述べました。」



弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-02-28 23:28 | 医療