弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日本分子生物学会理事長声明『STAP 細胞論文等への対応について』

特定非営利活動法人日本分子生物学会(理事長大隅典子)は,2014 年3 月3 日,理事長声明『STAP 細胞論文等への対応について』を発表しました.

「日本分子生物学会は研究の公正性に関わる問題を重要視し、これまで精力的に取り組んで参りました。昨年の年会ではこの問題をフォーラムという形で大きく取り上げ、その全文公開を今月中に行い、今後の公正性についての取り組みについての総括も行う予定でいます。

本年1月に理化学研究所からNature 誌に発表されたSTAP 細胞樹立にかかわる論文2報の著者には、本学会員が含まれますが、これらの論文および第一著者の以前の論文に関する生データ(画像)の取扱いや実験方法記述について、各種報道やWEB 上において多くの問題点が指摘されていることを、本学会としては大変憂慮しています。日本の科学をリードする研究機関の一つである理化学研究所が、可能な限り迅速に状況の正確な報告について公表されるとともに、今後の規範となるような適切な対応を取って下さることを本学会は期待します。」


STAP 細胞の論文についての不備がいくつも指摘されています.
現時点では,再現実験は成功していません.
詳細具体的な作製手順を公開し,再現に成功しないと,論文の価値そのものが疑われかねない状況です.

【追記】

特定非営利活動法人 日本分子生物学会(理事長大隅典子)は,2014 年3 月11 日,理事長声明『STAP 細胞論文等への対応についての再要望』を発表しました.

「科学論文は実験結果に基づき、その正当性が初めて保証されます。残念ながら、今回の論文等に関しては、データ自体に多くの瑕疵が有り、その結論が科学的事実に基づき、十分に担保されているものとは言えません。また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。当該研究の重要性は十分に理解していますが、成果の再現性は別問題として、これら論文に対しての適正な対応を強くお願いします。

日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。そのような対応が研究の公正性を維持し、日本の生命科学のさらなる進展に繋がると考えられ、また今後の規範になることを信じています。

1 Nature 論文2報(Nature 505, 641-647, 2014; Nature 505, 676-680,2014)
に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む)

2 このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告
我々、日本分子生物学会は、今回の件を決して一案件として捉えている訳でなく、科学者を取り巻く環境を含めた、研究に内包する喫緊の問題として、自省、自戒を持って、過去の同様なケースと共にこの問題を注視しています。今後の報告を含め、様々な事案を検討することで、我々、研究者が今一度、研究の公正性を含む研究倫理の問題として再度真剣に把握、分析し、システムの改善の努力に取り組む所存です。責任ある健全な研究成果を社会に対して発信するためにも、我々も襟を正してまいります。」

神戸新聞「STAP論文、重要部分に疑念 明石市民病院部長指摘」(2014年3月11日)は,次のとおりじました.

 
「共著者の一人が他の著者に撤回するよう呼び掛けた「STAP細胞」の論文について、理化学研究所(理研)などで免疫学を研究した明石市立市民病院の金川修身(おさみ)研修担当部長は10日、「論文で最も重要な点に捏造(ねつぞう)の疑いがあり、理論的にあり得ない結果として示されている」と指摘した。


 金川部長によると、論文中、STAP細胞の最も重要な根拠となる遺伝子の変化に関する部分で、理論的にあり得ない結果が示され、画像を切り貼りして作られた可能性があるという。他の複数の専門家も同様に指摘している。

 「論文には自分の考えを支持するような画像の捏造、他の論文からの盗用の疑いがあり、これだけで学術論文として受け入れられない」と金川部長。その上で「論文の筆頭著者である理研発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダーと、経験の少ない小保方氏の論文をチェックしなければならない共著者の責任は大きい」と強調した。

 また、論文の問題を見逃し、発表した英科学誌「ネイチャー」の審査体制や理研の広報の仕方、それらを過信したメディアの報道にも疑問を呈した。

 さらに、「今回の問題は科学への信頼を大きく損ねてしまう恐れがある。関係者はきちんとした対応が必要だ」と語気を強めた。(藤森恵一郎)」



論文の撤回はもちろんですが,撤回すればよいというものではありません.論文撤回で幕引きにすべきではんりません.
捏造と言われてもやむを得ない論文が作成され,ネイチャー誌に再提出された過程について,事実が開示されるべきでしょう.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-03-04 00:28 | 医療