弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

千葉県がんセンター,同一の医師の腹腔鏡下手術で患者3人死亡,県が検証委員会設置(報道)

NHK「千葉県がんセンター手術後3人死亡 県調査へ」(2014年4月22日)は,次のとおり報じました.

「千葉市中央区にある千葉県がんセンターですい臓がんなどの患者3人が、おととしからことしにかけて同じ医師から腹くう鏡を使った手術を受けたあと、まもなく死亡していたことが分かりました。
千葉県は、短期間に3人の患者が死亡したことを重くみて第三者による検証委員会を設けて原因を調べることにしています。

千葉県によりますと、おととし9月と去年1月に千葉市中央区にある千葉県がんセンターの男性医師がすい臓がんの2人の患者に腹くう鏡を使った手術を行ったところ、まもなく患者は死亡したということです。
この2つの手術について病院内で調査委員会が開かれ、去年8月、「必ずしも医療ミスによる死亡事故とは言えない」としたうえで、「新しい手術方法のメリットとデメリットについて患者への説明が十分に行われたという記録がなく、病院内の倫理委員会での合意もなかった」などとする報告書がまとめられたということです。
さらにことし2月、同じ医師から腹くう鏡を使って胆のうなどを切除する手術を受けた患者がまもなく死亡したということです。
千葉県は、短期間に3人の患者が死亡したことを重くみて、第三者による検証委員会を設けて、死亡の原因や手術に問題点がなかったかなどについて詳しい調査を行う方針を明らかにしました。            
千葉県がんセンターの江指純事務局長は「それぞれのケースはすでに病院内で検証しているが、3件続いていることを重く受け止めている。われわれとしても事実を精査してほしいと考えており、第三者による検証に最優先で協力したい」と話しています。」


msn産経「腹腔鏡手術後、死亡3件相次ぐ 千葉県がんセンター 県が検証委設置」(2014年4月22日)は,次のとおり報じました.

「千葉県がんセンター(千葉市中央区仁戸名町)で腹腔鏡下手術を受けた患者が、術後短期間で死亡する例が3例相次いでいたことが22日、分かった。県は同日記者会見を開き、第三者による検証委員会を設置して原因の解明にあたるとしている。

 県病院局経営管理課によると、平成24年9月から26年2月にかけて3人の患者が術後の同日や翌日、2週間後の短期間で亡くなる例が続いた。腹腔鏡下手術は、患者の腹部に小型の内視鏡(カメラ)を入れる高度な技術を要する手術という。

 同課は「事態を重く受け止め、ミスの可能性も含め事実確認を行う」としている。」


さすがに3件続くと疑問を覚えます.第三者の調査で事実を解明していただきたく思います.

医師資格があれば一応何でもできることになっていますが,医師は自己のスキルを自覚し不相応に難易度の高い手術を行ってはいけない,という暗黙のルールはあるのではないでしょうか.手術の禁忌は,その手術を担当する個々の医師のレベルにもよるのではないか,と思います.手術後の死亡は医師が実力相応以上に高度な手術に挑戦した結果であるとは言いませんが,手術が原因で亡くなった場合,医療ミスを疑うご遺族は少なくありません.

【追記】

毎日新聞「腹腔鏡手術:3人死亡の調査結果、遺族説明なく 千葉」(2014年4月23日)は、次のとおり報じました.

「がん手術の県内の拠点で何があったのか。千葉県がんセンター(千葉市)で2012年以降、同一の男性医師による腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者3人が短期間に死亡した問題。県は22日、外部有識者による第三者委員会を設置して原因究明に乗り出すとしたが、センターが実施した「院内医療事故調査委員会」の調査結果すら遺族に説明できていない。準備不足からか、県の「緊急会見」はあいまいな説明に終始した。【岡崎大輔、味澤由妃】

 記者会見した県病院局経営管理課によると、患者3人はいずれも高難度とされる腹腔鏡手術を受けた後に死亡したが、術式については男性医師が所属する消化器外科内の担当医らで協議して決め、実際の手術時には他に2人医師が立ち会っていたという。だが、同課は、男性医師について具体的なキャリアなどは明らかにせず、「ベテラン医師」と述べただけ。医療過誤だったかどうかについても「判断は難しい」として、第三者委に委ねる姿勢を繰り返した。

 死亡1例目の女性(76)=12年9月=と、2例目の男性(57)=13年1月=のケースについては、外部の医師も入れた院内の医療事故調が調査し、報告書を昨年8月にまとめた。同課によると、この報告書は「必ずしも医療ミスによる死亡事故とは言えない」とした上で、「新しい手術方法のメリットとデメリットについて、患者への説明が十分に行われたという記録がなく、院内の倫理委員会での承認もなかった」と問題点も指摘した。だが、こうした調査結果は遺族らに説明されていない。

 報告書は、1例目と2例目の手術が行われた際、新しい術式を採用する際に院内の倫理委に諮るというルールがセンターになかったとも指摘。「今後、腹腔鏡手術を行う際は倫理委の承認は必須」としたが、センターは同手術は既に一般的な術式だとして、3例目の手術についても倫理委の承認は得なかったという。

 そのほか、3例で腹腔鏡手術の保険適用が申請された妥当性についても、県は「(可否は)第三者委に委ねる」と繰り返した。センターの事故調の報告書は1、2例目について「適用外」との趣旨の記載が残されている。」


【追記】

読売新聞「腹腔鏡手術直後の死亡、新たに3人が判明…千葉」(2014年05月7日)は,次のとおり報じました.

「千葉県がんセンター(千葉市中央区)で同じ男性医師による腹腔(ふくくう)鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題で、県は7日、ほかに3人が同様の手術を受けて2週間以内に死亡していたと発表した。うち2人は、この男性医師が執刀していた。

 県病院局が2008年まで遡って手術後2週間以内の死亡例を調べた。同局によると、今回判明した3人は、10年5月~11年2月に手術を受けた59~82歳の男性。うち2人は男性医師による手術から4~6日後に死亡した。2人について、同センターは当時、内部の対策会議を開いて手術に問題はないと判断していた。県は、今月設置予定の第三者検証委員会で医療ミスがなかったか調べる方針。

 同センターでは08年6月以降、手術から2週間以内に死亡した患者は6人となった。手術後約1~9か月後に死亡した患者も3人おり、計9人となる。うち7人は男性医師が執刀した。」


手技上の問題は,立証が難しいのですが,これだけ死亡件数が集中していると,何かあったのではないか,という疑いが生じます.

【再追記】

読売新聞「県がんセンター9人術後死 本格調査へ」(2014年6月18日)は,次のとおり報じました.

「県がんセンター(千葉市中央区)で腹腔ふくくう鏡手術後にがん患者が相次いで死亡した問題で、県は17日、有識者による第三者検証委員会を設置したと発表した。医師ら7人で構成され、今後会合を開いて医療ミスがなかったかどうかなどを調査する。県は今年度中に報告書の提出を求める方針。また、手術など専門的な調査については、「日本外科学会」に依頼することを明らかにした。

 県病院局によると、同センターでは腹腔鏡手術後、2008年から今年2月までに9人が死亡。このうち、57歳~86歳の男女7人は同一の男性医師による手術を受け、当日~約9か月後に死亡したことが判明している。ほかの2人は、それぞれ別の医師が執刀していた。

 同手術は、体に数か所の小さな穴を開け、カメラなどの器具を入れて行う手術で、開腹手術に比べ体への負担が少なく、患者の回復が早いのが特徴。医療関係者によると、日本では1990年代前半から同手術が行われるようになったという。

 今回の事例は、同センターでは「問題ない」とされたが、県は「腹腔鏡手術後、短期間に複数の患者が亡くなったことを重く受け止めた」とし、検証委を設置した。

 検証委は、県コンプライアンス委員会議会長の真田範行弁護士などで構成し、月1回程度開催する予定。死亡した9人について〈1〉手術における問題の有無〈2〉センター内の意思決定の手続き〈3〉患者への説明の有無〈4〉術後の対応など――を検証する。初会合の時期は未定。

 また、専門的な知見が必要とされる手術に関する調査は、日本外科学会にカルテなどの資料から個々の事案を分析してもらい、その報告をもとに検証委で議論する。

 記者会見した県病院局の高橋功一副病院局長は「県民や患者のみなさんが安心し、納得してもらえるように情報提供していくのが県の責務。そのためにもしっかりと検証してもらいたい」と話した。



 検証委の他の委員は次の通り。

 隈本邦彦・江戸川大教授▽多田羅浩三・日本公衆衛生協会長▽豊田郁子・新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー▽長尾能雅・名古屋大病院副院長▽真島喜幸・県がん患者団体連絡協議会委員▽山下洋一郎・弁護士」


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-04-22 19:28 | 医療事故・医療裁判