弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

あけぼの第二クリニック,医師が殺人未遂容疑で逮捕される(報道)

読売新聞「死刑願望の医師、患者の透析チューブ引き抜く」(2014年06月12日)は,次のとおり報じました.

「人工透析中の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとしたとして、警視庁町田署は12日、東京都町田市中町の「あけぼの第二クリニック」所長で、腎臓内科医師の×××××容疑者(49)(東京都町田市小川)を殺人未遂の疑いで逮捕した。

××容疑者は調べに対し、「相手は誰でも良かった。死刑になりたかった」と話しているという。男性は自分ですぐに異変に気づき処置され、命に別条はなかった。

 発表によると、××容疑者は11日午後8時20分頃、同クリニック3階の人工透析室で、人工透析をしていた50歳代の男性患者の透析チューブを引き抜き、殺害しようとした疑い。

 ××容疑者は事件直後に、自分で車を運転して同署に出頭。その際、着ていた普段着には血液が付着していたという。

 ××容疑者は男性の担当医。人工透析の装置側につながっている透析チューブを引き抜き、そのまま部屋を出て行ったという。男性は血液が流れ出していることに気づき、近くの医療スタッフが処置するなどし無事だった。

 同署によると、××容疑者は当日、出勤日だったとみられる。事件があった人工透析室には当時、約10人の患者が透析を受けていたほか、医療スタッフも複数いた。

 同クリニックの職員は読売新聞の取材に「詳細な状況は説明できない」と話している。

 同クリニックは、外来で血液透析を専門に行う施設として、1999年に開設された。2010年には、人工透析中の女性(当時73歳)が大量出血して死亡した事故があり、勤務していた男性看護師が今年2月、業務上過失致死の疑いで東京地検立川支部に書類送検されている。

 週3回人工透析に通う町田市の女性(72)は「1年5か月前から××先生が担当だった。血圧などを測ると、『高めなのでお薬出しましょうね』と優しい口調で、丁寧に診察してくれた。2日前にも会ったが、変わった様子はなかった」とし「悪いうわさも聞いたことはない。悩んでいる様子もなく、信じられない」と話していた。」


この医師は,2010年の医療過誤の記憶から,今回チューブを抜いて殺そうと考えたのでしょう.
この医師は,精神的に病んでいた可能性が高いのではないかと思います.
そもそも,死刑を廃止すれば,このような死刑願望の犯罪は減ります.
なお,殺人未遂では死刑になりません.


【追記】

産経新聞 「「死刑になろうと…」患者殺害を企てたエリート医師 所長就任も狂った歯車」(2014年6月21日)は,次のとおりじました.

「人知れず死を望んだ医師は理不尽にも、患者の命を奪うことで目的を果たそうとした-。人工透析中の患者のチューブを引き抜いて殺害しようとしたとして、「あけぼの第二クリニック」(東京都町田市)所長で、腎臓内科医の×××××容疑者(49)が6月12日、殺人未遂容疑で警視庁に逮捕された。「患者を殺し、死刑になろうと思った」と、無差別殺人を示唆する動機を語っているという橋爪容疑者。親身な応対で患者たちからの信頼を集め、クリニックの責任者の座に就いたエリート医師の人生は、どこで歯車が狂ってしまったのか。(中村翔樹、宇都宮想)

■たばこを吸って犯行を決意? 無言で透析室に

 小田急線町田駅に近い東京都町田市中町のあけぼの第二クリニック。備え付けの防犯カメラは6月11日午後8時25分ごろ、建物内に入っていく××容疑者の姿を捉えていた。

 同6時ごろに勤務を終えて帰宅したはずだったが、3階の透析室に無言のまま入ると、予想外の行動に出た。最前列のベッドにいた50代の男性患者の腕と、透析用監視装置をつないでいたチューブをためらいなく引き抜いたのだ。

 ××容疑者は弾みで装置ごと床に転倒。チューブからは血液や透析液が漏れ出した。「先生、大丈夫ですか」。チューブが抜けたことに気付いた男性が心配そうに声をかける。医療スタッフらが次々と集まり、男性に緊急処置を施すなど室内は騒然となった。

 幸い、男性の容体に異変はなかった。その間、××容疑者はナース室で休んでいるように言われたが、スタッフらがしばらくして事情を聴くために戻ると、その姿はなかった。

 ××容疑者は同8時40分ごろ、クリニックを出て、車で警視庁町田署に向かっていた。服に血液が飛び散った状態だった。「人を刺してきた」。署員には当初、事実と異なる説明をしたが、翌12日に殺人未遂容疑で逮捕された後は、一連の犯行について関与を認める供述をしている。

 帰宅途中にコンビニエンスストアに寄り、購入したたばこを吸っているときに患者の殺害を決意したといい、犯行動機をこう語っている。

 「死にたかった。患者を殺して警察に捕まり、死刑になろうと思った」

■4月に所長に、睡眠薬処方…「精神的に疲れた」

 近所の住民らによると、××容疑者は10年ほど前から町田市内の一軒家で暮らしている。近くの主婦は「奥さんも医師で、お嬢さんは都心の有名女子高校に通っていると聞いた。外国産車でお嬢さんを送り迎えするなど、とても幸せな家庭に見えた」と話す。

 クリニックの患者らは「おとなしく、親身に相談に乗ってくれる先生だった」と口をそろえる。2年前から××容疑者の人工透析を受ける男性患者(78)は「いつもていねいな応対で安心感があったのに…」と首をかしげる。

 クリニックを運営する医療法人社団「三友会」によると、××容疑者は平成3年に大学を卒業し、医師としてのキャリアをスタート。大学病院などで経験を積み、17年2月からクリニックに勤務。前任の所長が今年3月に退職したのを受け、4月に後を継いだばかりだった。

 前所長の退職で常勤医が1人減ったため、クリニック側は非常勤医を2人採用。前所長も非常勤で手伝うようにしていた。4月以降、××容疑者は週休2日で、勤務時間などに大きな変化はなかったという。

 ただ、事件後にカルテを調べたところ、2月下旬に不眠症の訴えがあり、30日分の睡眠薬を処方。所長就任から約1カ月後の5月にも追加して処方していた。同19日には、事務長に「肉体的には問題ないが、精神的に疲れた」と相談していたという。

 別の男性患者(60)も「看護師が『(××容疑者の)仕事が大変そうだ』と話していた。人知れず、疲れがたまっていたのかもしれない」と話す。

■過去に死亡事故で立件も…専門家「医師のメンタルケア必要」

 医師や薬剤師などの医療従事者が患者らに危害を加えた事件は過去にもあった。いずれも立場を悪用して無防備な患者らを標的にしており、専門家は「密室の中での通り魔とも言える犯行。倫理観の再構築が必要だ」と訴える。

 仙台市泉区のクリニックで平成12年に起きた筋弛緩(しかん)剤事件では、元准看護師の男が患者5人に筋弛緩剤を点滴し、1人を殺害、4人を意識不明にさせたとして、殺人罪などで無期懲役が確定した。男は筋弛緩剤などの投与のほか、薬剤の在庫管理も担当していた。

 三重県伊勢市の薬局で15年4月に薬剤師の男が精神安定剤入りの薬を子供に処方し、傷害容疑で逮捕された事件では、男は勤務当初から調剤を担当。精神安定剤は粉末状で、顆粒(かりゅう)状の処方薬に混ざるとほとんど分からなくなり、薬の形状などを把握した上での犯行だったとみられる。

 元看護師の男は逮捕当時、「待遇に不満があった」「患者は誰でもよかった」などと動機を供述。薬剤師の男も「人事と人間関係に不満があった」と、ストレスからの犯行だったことを示唆している。

 東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「医療従事者は『患者の命は自分がコントロールしている』と思い込みがちで、それが患者の存在を軽んじる意識につながることがある」と指摘。「治療してくれると信頼しきっている患者は身の守りようがない。再発防止には医師自身のメンタルケアなどが必要だろう」との見方を示す。

 あけぼの第二クリニックでは22年6月、人工透析中だった70代の女性患者の透析装置のチューブが抜けて死亡する事故があり、看護師の男が業務上過失致死容疑で書類送検された。××容疑者は当時、透析部門の責任者で、こうした背景が今回の犯行に何らかの影響を与えた可能性もある。

 同署は動機などに不自然な点があるとして、精神鑑定も視野に詳しい経緯を調べている。××容疑者は取り調べ中、ずっと肩を落とし、犯行を後悔しているような様子を見せているという。」





谷直樹

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by medical-law | 2014-06-12 20:10 | 医療事故・医療裁判