弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床研究データ改竄

産経新聞 「脳卒中 既存薬発生数、倍に水増し ノ社元社員 ディオバン優位性捏造」(2014年6月14日)は、次のとおりじました

「製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤「ディオバン」の臨床研究データ操作事件で、ノ社元社員、××××容疑者(63)=薬事法違反(誇大広告)容疑で逮捕=が、京都府立医大の臨床研究で、ディオバン以外の既存薬を投与した患者グループの脳卒中発生数を約20人水増しし、ディオバンの約2倍になるよう改竄(かいざん)した疑いのあることが13日、関係者への取材で分かった。

 実際は既存薬との発生数の差はほとんどなかったが、データ加工でディオバンの優位性を捏造(ねつぞう)していた格好だ。東京地検特捜部は悪質性が高いとみており、改竄の動機を調べている。

 関係者によると、京都府立医大の研究には31病院が参加し、平成16年1月に始まった。ディオバンと既存薬をそれぞれ約1500人ずつ、計約3千人の高血圧患者に投与し、降圧効果とともに脳卒中や急性心筋梗塞など合併症の発症率を比べた。各病院は患者データを学外のデータセンターに登録。センターに集まった段階では、脳卒中の発生数はディオバングループと既存薬グループでほぼ変わらずそれぞれ約25人だった。

 だが、××容疑者は元同僚でもあったデータセンターの管理者に依頼してメールで患者データを受け取ると、既存薬グループの発生数を操作し46人に水増ししたという。

 この解析結果などを基にして、京都府立医大は21年8月、ディオバンで「高血圧が関わる脳卒中などのリスクが45%低下した」とする主要論文を欧州心臓病学会誌に発表した。23年には、主要論文を補足した論文を英医療誌に掲載。ここでも脳卒中の発生数は「46人」で、主要論文で用いられた改竄データがそのまま転用されていた。この補足論文での虚偽の記載が××容疑者の逮捕容疑となった。

 一方、××容疑者はデータセンターの管理者に対して「自分はデータを受け取っていないことにしてほしい」などと要請。厚生労働省などの調査に自身の関与を話さないよう口止めしていた。」


刑事事件は、犯罪を行った個人の責任を問う手続きです.
しかし、本件は××容疑者個人の問題として一件落着させるのでは何にもなりません.
本質的に企業ぐるみの問題です.
本件を契機に、データ捏造がまかりとおってしまう構造・体質を変革することができて、はじめて日本の臨床研究の信頼性を回復することができるのではないでしょうか.


谷直樹

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by medical-law | 2014-06-14 10:11 | コンプライアンス