弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

飯田市立病院,心電図モニターなどの運用管理が不適切で容体急変をすぐに発見できなかった医療事故で和解

信濃毎日新聞「飯田市立病院で医療事故  遺族に解決金450万円」(2014年8月20日)は,次のとおり報じました.

「長野県飯田市は19日、飯田市立病院で2012年8月21日に入院中の市内の60代男性患者が心肺停止になった際、男性に装着した心電図モニターなどの運用管理が不適切で容体急変をすぐに発見できなかった医療事故があったと明らかにした。心肺停止の原因は不明だが、男性は容体が悪化したまま同年9月に死亡。市側は、和解協議を続けてきた男性の遺族に解決金450万円を支払う。

 病院によると、男性は同年7月上旬に集中治療室(ICU)に入院し、症状が落ち着いたとして8月中旬に一般病棟に移った。事故当時、男性は容体観察のため心電図モニターなどを装着していたが、午前5時ごろにモニターの電極が外れていた。同6時半に病院職員が病室を訪れた際は男性に意識があったが、同7時18分、看護師が男性が心肺停止状態にあるのを発見。医師らが蘇生処置をしたが意識が回復せず9月4日に死亡した。

 電極が外れたため、病棟のスタッフステーションではアラーム音が鳴ったが、職員は気付かず、モニター画面も午前4時から約3時間にわたって確認していなかった。電極は男性自身が外してしまった可能性があるという。

 病院は院内の調査委などで事故を検証。容体急変は予期できなかったとしつつ「スタッフのアラーム音への意識低下があった」と指摘した。また、事故当日の病棟の夜勤態勢は看護師3人で「マンパワーの限界」があったとし、容体急変を早期発見できなかったとしている。

 遺族は、モニターで容体を確認し、すぐに発見していれば異なる結果になった可能性を指摘したという。病院側は、即座に容体急変を確認できなかったことを謝罪した。

 病院側は事故発生から2年間、事実を公表しなかったことについて「当初、男性の遺族が公表を望んでいなかった」と説明。26日開会の市議会定例会に和解議案を提出するのに合わせて公表した。」


病棟のスタッフステーションではアラーム音が鳴ったが職員は気付かず,モニター画面も午前4時から約3時間にわたって確認していなかったというのは,著しく不適切な医療といえると思います.少ない看護師で多くの患者を看ているからといって,看護師の注意義務違反が認められない事案ではないと思います.仮に個々の看護師が注意をはらってもアラーム音に対応できない状況・体制にあったとしたら,そのような状況・体制を作出した管理者の注意義務違反が認定されるでしょう.

ただ,モニターで容体を確認しすぐに発見していれば異なる結果になった可能性がある,というだけでは,注意義務違反と悪しき結果(死亡)との間の因果関係について高度の蓋然性が立証されたとはいえません.
注意義務違反がなければ悪しき結果(死亡)が回避された相当程度の可能性は認められることから,このような金額での和解となったと推測します.

なお,比較的少ない看護師で多くの患者を看ている施設などでは,アラーム御に気づかなったということは結構多いように思います.



谷直樹

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by medical-law | 2014-08-21 22:11 | 医療事故・医療裁判