弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

武田薬品工業「CASE-J試験に関する一連の事象を踏まえた再発防止への取り組みおよび社内処分について」

武田薬品工業株式会社は、2014年10月3日、「CASE-J試験に関する一連の事象を踏まえた再発防止への取り組みおよび社内処分について」を発表しました.

「当社は、当社の高血圧症治療剤「ブロプレス®錠」(一般名:カンデサルタン シレキセチル)に関する医師主導臨床研究(CASE-J試験)について、これまでに、本研究成果を用いた当社による不適切なプロモーション活動が確認されたこと、また、第三者機関ジョーンズ・デイ法律事務所による調査の結果、試験データの捏造・改ざんやこれに当社従業員が関与したとの事実はいずれも認められなかった一方で、医師主導臨床研究の独立性・中立性に疑義を生じさせかねないという意味で不適切な当社による複数の関与や働きかけが確認されたことを公表し、また、記者会見を通じてご説明いたしました。

本件を受け、当社では、一連の事象の再発防止に向けた取り組みの検討を行い、既にいくつかの再発防止策を講じており、今後も遺漏なく対応してまいります。また、外部の弁護士もメンバーに入ったコンプライアンス委員会にて、問題となった事象に関し、その発生・継続当時の役職や、関与の度合い等を勘案し、対象者およびその社内処分を慎重に審議し、決定いたしました。

当社における再発防止に向けた取り組み(既に実施済みのものも含む)、および、今般決定いたしました社内処分につきまして、下記のとおりご報告いたします。


I. 再発防止への取り組み
1.コンプライアンス推進体制の強化
1) プロモーション資材に関する審査・管理体制の厳格化
本年4月より、医薬営業本部内にコンプライアンス推進を担う部署を設置し、医薬営業本部内におけるコンプライアンス徹底を促すとともに、プロモーション資材についてのチェック機能も果たしています。また、プロモーション資材の社内審査機関に、法務的観点、医師の視点で審査を行えるメンバーを新たに加え、審査体制を強化しました。これまで審査対象に入っていなかった二次利用(過去に審査・承認されたものの再利用)についても審査対象とし、使用不可となった古い資材を確実に廃棄するプロセスを構築しました。
2) 製薬協コード・オブ・プラクティス(COP)の推進
2013年6月に、社内にて「製薬協COPの推進に関する規則」を制定し、法務部主導のもと、継続教育によりCOP内容の理解促進と遵守徹底をはかっています。

上記について、今後さらなる効果的な運用・チェック体制の検討ならびに教育の継続実施により、徹底をはかってまいります。

2.副作用報告に関する取り組み強化
医師主導臨床研究および委託研究における安全性情報の収集・報告方法を整備し、臨床研究実施中に発生した有害事象をもれなく把握できる仕組みを構築しました。当社製品に関する安全性情報は、発生した事象すべてが安全管理部門に速やかに報告されるよう、規則をより明確にし、社内に周知徹底しています。

3.医師主導臨床研究等に対する支援の透明性の確保
1) 医師主導臨床研究に関する営業部門不関与の徹底
これまで必要に応じて実施してきた、医師主導臨床研究に関するMR不関与の指導に加え、本年6月に発効した「医薬営業本部の行動要領」に基づき、営業部門が医師主導臨床研究に一切関与しないことを継続的に指導・徹底しています。
2) 医師主導臨床研究に関する手順書の策定・遵守
医師主導臨床研究の科学的な意義を検証し、利益相反に関する問題の有無を厳重にチェックしたうえで、日本開発センター内に設置したメディカルアフェアーズ部が契約により支援を実施する方式に移行しています。契約書には、実施者および当社の役割と責務を明記し、さらに利益相反問題の適切な管理について明文化することで、透明性を高めています。

上記について、今後も契約に基づく支援方式を継続し、医師主導臨床研究に関するガイドライン策定を通じて適正な研究支援を推進してまいります。

4.寄付金拠出に関する対応の厳格化
本年5月より、寄付金を評価・審査する委員会の組織体制および運営に関する規則を強化し、より厳格に利益相反や法的リスクの排除につとめています。

II. 社内処分
1.関係役員について
関係役員に対し、その責任範囲等に応じ、月額報酬の5%から20%の減額を、3ヶ月間行う。

2.関係従業員について
関係従業員については、戒告処分とする。

当社は、今回の取り組みを通じ、経営幹部を含む従業員一人ひとりが、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」という私たちのミッションを改めて強く認識すると同時に、当社のコア・バリューであるタケダイズム:誠実=公正・正直・不屈を日常業務を通じて徹底・浸透させ、今回の件で失った皆様からの信頼の回復につとめるだけでなく、更に高い信頼の獲得・維持に向けて、全社一丸となって努力してまいります。」


これで幕引きでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2014-10-07 01:07 | コンプライアンス