弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪高裁平成26年9月30日判決、双方控訴を棄却、外科医による鼓膜損傷約15万5千円の賠償確定(報道)

紀伊民報「鼓膜損傷の医療訴訟で両控訴棄却 紀南病院」(2014年10月9日)は、次のとおり報じました.

「紀南病院(和歌山県田辺市新庄町)に耳の違和感で救急受診した市内の女性(62)が、病院の過失で鼓膜を損傷したとして約265万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁が紀南病院組合に約12万円の支払いを命じた一審・和歌山地裁田辺支部の判決を支持し、病院組合と女性の控訴を棄却していたことが分かった。

 病院組合が8日、組合議会に経過を報告し、賠償金や裁判費用など67万円の補正予算案を提出、可決した。高裁の判決は9月30日に出た。

 病院組合によると、女性は2009年4月に右耳の違和感で緊急受診。当直の外科医が耳内に虫を確認し、除去を試みたが取り出せず、当日中に耳鼻咽喉科を受診するよう指示した。女性は当日、市内の耳鼻咽喉科を受診し、鼓膜の損傷が分かった。

 その後、病院組合と女性は数回の話し合いをしたが、合意に至らず、女性は12年4月に和歌山地裁田辺支部に提訴した。病院組合は適正な医療行為で注意義務違反に当たらないと主張していた。

 高裁の判決では、虫までの距離を目視で把握することは困難で、挿入した器具の位置や動きが確認できない場合は専門医の受診を促すべき注意義務があるとしている。

 また、女性の鼓膜損傷については、自然閉塞(へいそく)で完治する小さなもので、日常生活に支障を来すものでない。精神的苦痛を感じたとの主張は認められないとした。

 病院組合は慰謝料や通院交通費など合計約15万5千円を支払う。」


当直の外科医が耳内の虫除去を試み鼓膜を損傷した事案です.
虫までの距離を目視で把握することは困難で、挿入した器具の位置や動きが確認できない場合は専門医の受診を促すべき注意義務があるとした点は、参考になります.


谷直樹

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by medical-law | 2014-10-10 00:53 | 医療事故・医療裁判