弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

札幌高裁平成26年9月25日判決、除斥期間について疾患(うつ病)発症時点から起算(報道)

北海道新聞「釧路PTSD訴訟、うつ病発症時から起算 控訴審、3千万円賠償命令」(2014年9月25日)は、次のとおり報じました.

約30年前の幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)とうつ病になったとして、釧路市出身の女性が親族の男性に約4100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁は25日、うつ病に対する慰謝料などとして男性に約3千万円を支払うよう命じた。20年間の除斥期間が経過したとして請求を退けた一審判決から1年5カ月。女性は「性的虐待を受けた子供が被害を自覚し、声を上げることは難しい。その実情を踏まえた判決であり、本当にうれしい」と喜びをかみしめた。

 2013年4月の一審釧路地裁判決は、PTSDとうつ病を一連の症状ととらえ、最後の虐待行為があった1983年を起算点と認定。既に除斥期間が経過しているため、損害賠償請求権が消滅したと判断した。これに対し、二審判決はPTSDについては一審判決と同様の判断をしながらも、「うつ病については除斥期間の起算点は発症した06年9月であり、損害賠償請求権は消滅していない」と結論付けた。<どうしん電子版に全文掲載>」



朝日新聞「「性的虐待でうつ病」3千万円支払い命じる 札幌高裁」(2014年9月25日)は、次のとおり報じました.

「幼少期に親族の男性から受けた性的虐待により心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神障害を発症したとして、40代の女性がこの男性を相手取り、4175万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、札幌高裁であった。岡本岳裁判長は「性的虐待でうつ病を発症させた」として、女性の請求を棄却した一審・釧路地裁判決を変更し、男性に3039万円の支払いを命じた。

 判決は、女性が1978~83年に性的虐待を受け、同年ごろにPTSDと離人症性障害を、2006年ごろにうつ病をそれぞれ発症したと認定。うつ病以外は、一審判決と同様、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する除斥期間が過ぎているとした。だが、うつ病は一定の潜伏期間後に症状が現れるとし、発症した06年を除斥期間の起算点とするのが相当だとした。

 一審判決は「うつ病はPTSDに付随して発症したと理解され、性的虐待を受けていたころから症状の一部が生じていた」として、いずれの精神障害も除斥期間が過ぎていると認定、3269万円の損害賠償を求めた女性の請求を棄却した。女性は、治療費などを追加し、請求額を4175万円に増額して控訴していた。」


20年の除斥期間は高いハードルですが、この札幌高裁判決のように発病時点から起算すると救済されるケースもあるでしょう.発病をいつと認定するかは問題となりますがが.
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最高裁判所第三小法廷平成21年4月28日判決(民集第63巻4号853頁)が、被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出したため相続人がその事実を知ることができなかった場合における上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間裁判要旨  被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果は生じない、と判示したように、除斥期間については、上級審で制限的な方向で解釈されることもあります.

緑のオーナー事件の大阪地裁平成26年10月9日判決は、機械的に除斥期間を適用しましたが、控訴院、上告審ではなんらかの制限的な解釈が示される可能性がないとはいえないでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2014-10-10 01:11 | 司法