弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

インスリン投与の必要がない患者に故意にインスリンを投与した容疑で玉川病院の看護師逮捕

医療現場で,医療従事者が誤って患者を傷つけたり死なせたりすることはありますが、故意に患者を傷つけたり死なせたりすることはほとんどありえないことだと思っていました.
ところが,ドイツのデルメンホルストの病院に勤務していた看護師が退屈しのぎに患者を重篤な容体にしたうえで蘇生させようとしたが蘇生できずに186人を死亡させたことが報じられました.
また,日本でも看護師が傷害容疑で逮捕されました.
逮捕容疑は4月3日、6日、9日の3回にわたりインスリン投与の必要のない患者にインスリンを投与して低血糖状態にしたというものです.
公益財団法人日産厚生会玉川病院は,平成26年12月1日,「警察届け出をおこなった事例に関して逮捕者が出た件についての御報告とお詫び」を発表しました.

NHK「故意にインスリン投与の疑い 看護師を逮捕」(2014年12月1日)は,次のとおり報じました.

「東京・世田谷区の病院でことし4月、糖尿病ではない女性患者が血糖値を下げるインスリンを投与され、意識がもうろうとなった事件で、警視庁は25歳の看護師の女が故意にインスリンを投与した疑いが強まったとして、傷害の疑いで逮捕しました。
看護師は容疑を否認しているということです。

逮捕されたのは、東京・世田谷区の看護師、××××容疑者(25)です。
この事件は、東京・世田谷区の「日産厚生会玉川病院」でことし4月、入院中の91歳の女性患者が低血糖症になって意識がもうろうとする発作を3回起こしたもので、女性の血液からは血糖値を下げるインスリンが高い濃度で検出されました。
女性は糖尿病ではなかったことから警視庁が捜査したところ、発作に気付いたと話していた××容疑者が、医師に報告せずに血糖値の検査をするなど不審な行動をしていたことなどから、故意にインスリンを投与した疑いが強まったとして、傷害の疑いで逮捕しました。
病院内の棚からインスリンの瓶2本が無くなっていたということで、警視庁が詳しい経緯を調べています。
警視庁によりますと、××容疑者は容疑を否認しているということです。」


逮捕の段階で,否認していますので,本当にこの看護師の犯罪かは不明ですが,誰かが患者にインスリンを投与したのは事実です.真相の解明を期待します.

【追記】
テレビ朝日「“インスリン投与”の女 初公判で無罪を主張」(2015年6月10日)は,次のとおりじました.

「東京・世田谷区の病院で、女性患者にインスリンを大量に投与して低血糖症に陥らせたとして傷害罪に問われた看護師の女が初公判で無罪を主張しました。

 ××××被告(26)は去年4月、世田谷区の日産厚生会玉川病院で入院中の糖尿病でない女性患者(91)に、3回にわたって故意にインスリンを投与し、低血糖症に陥らせたとして傷害の罪で起訴されました。女性患者は突然、手足が震えるなどの発作を起こしましたが、その後、回復しました。10日の初公判に黒のスーツで入廷した××被告は終始、うつむき加減で、消え入るような小さな声で「インスリン投与はしていません」と起訴内容を否認しました。検察側は冒頭陳述で、××被告が患者に近付こうとした他の看護師に対して「暴れるので近付かないように」と警告するなど、犯人でないと説明できない不合理な行動があったと指摘しました。一方、弁護側は「証拠は皆無で、投与の方法すら明らかになっていない。被告以外の看護師にも投与する機会があった」などと主張しました。」

【再追記】
産経新聞「患者に不要なインスリン投与、看護師に懲役2年6月判決 無罪主張退ける」(2015年12月15日)は,次のとおり報じました.

「東京都世田谷区の玉川病院で入院患者の女性=当時(91)、退院=に必要のないインスリンを大量に投与し一時的に意識を失わせたとして、傷害罪に問われた横浜市の看護師、××××被告(26)の判決公判が15日、東京地裁で開かれた。江見健一裁判長は「無防備な患者に看護師の立場を悪用して危害を加えた卑劣な犯行だ」として、懲役2年6月(求刑同4年)の実刑判決を言い渡した。

 弁護側は「犯行は××被告以外にも可能で、別人によるものだ」と無罪を主張していたが、江見裁判長は「単独犯かつ同一人物の犯行と推認される上、犯行の機会を考慮すると、××被告が犯人だと認められる」とし、弁護側主張を退けた。弁護側は判決後、控訴する意向を示した。

 判決によると、高柳被告は平成26年4月3、6、9日、患者女性に必要のないインスリンを投与し、低血糖発作で意識を失わせた。」


WSJ「不要インスリン投与で実刑=看護師の女に、患者昏睡—東京地裁」(2015年12月15日)は,次のとおり報じました.

「東京都世田谷区の「日産厚生会玉川病院」で昨年4月、患者に不要なインスリンを大量投与し、一時昏睡(こんすい)状態に陥らせたとして、傷害罪に問われた看護師××××被告(26)の判決が15日、東京地裁であった。江見健一裁判長は××被告の犯行と認定し、懲役2年6月(求刑懲役4年)を言い渡した。同被告は無罪を主張しており、即日控訴した。

 何者かがインスリンを投与した点に争いはなかったが、××被告は「自分ではない」と主張。目撃証言や明確な物証はなく、状況証拠の評価が争点だった。

 江見裁判長は、××被告が患者に異変のあった3日間とも看護を担当し、他の誰よりも犯行は容易だったと指摘。看護記録に虚偽の血糖値を記載したことなどから、「犯人と強く推認される」と認定した。その上で、「安全管理を担う立場や医療技術を悪用した卑劣な犯行」と述べ、実刑が相当と判断した。

 弁護側は「投与方法すら明らかでなく、動機も解明されていない。立証は不十分だ」と反論したが、退けられた。

 判決によると、××被告は昨年4月、入院中の女性に3回にわたり、糖尿病治療薬のインスリンを大量投与し、低血糖発作を引き起こした。 [時事通信社]」




谷直樹

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by medical-law | 2014-12-01 20:16 | 医療事故・医療裁判