弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

生体腎移植後HTLV―1関連脊髄症を発症した5症例報告

朝日新聞「生体腎移植でウイルス感染、5人が歩行・排尿困難に」(2014年12月12日)は、次のとおり報じました.

「厚生労働省は12日、家族らから生体腎移植を受けた患者5人が、両足がしびれ、歩行や排尿が困難になる難病「HTLV―1関連脊髄(せきずい)症」を発症していたと発表した。移植を通じて原因ウイルスに感染した。通常より高い発症率で重症化も早いことから、厚労省は研究班を立ち上げ調べる。

 聖マリアンナ医大の山野嘉久准教授が、2000~13年に生体腎移植で原因ウイルスのHTLV―1に感染し、脊髄症を発症した5人を確認した。発症率は5%以上で通常の20倍以上と推定。いずれも移植から5年以内に発症し、その後数年で歩けなくなるなど重症化も早かった。

 HTLV―1は白血病ウイルスの一種で、母乳などで感染する。日本人は男性で0・66%、女性で1%程度が感染、感染者の約0・25%が脊髄症を発症するとされる。提供者が感染していても、重い腎臓病患者への生体腎移植は学会指針では禁じられていない。

 厚労省は12日、腎移植を受ける患者と提供者に感染検査をするほか、移植手術を受ける際には重症例について説明して同意を得ることを医療機関に求めた。」



難病情報センターのサイトには、次の説明があります.

「HTLV-1というウイルスはヒトのリンパ球に潜在感染しており、母親から子への母乳を介して、あるいは性交渉を介して夫から妻へ伝搬し、ヒトの進化歴史と共に生き続けているウイルスです。感染者は全国に108万人といわれますが、その大多数は全く健康に過ごしています。しかし、一部の人では脊髄に慢性の炎症がおこり脊髄が傷害されるために、両下肢のつっぱり感、歩行困難、しびれ感、排尿困難や便秘で発症し、徐々に進行します。」


日本移植学会と日本臨床腎移植学会は、2014年12月12日、「腎移植における HTLV-1 感染に関する注意喚起」を発表しました.

「腎移植後の免疫抑制状態により、一般的な HTLV-1 感染症の臨床経過とは異なる可能性は否定できません。前記の研究班の調査研究により、実態が解明されることとなりますが、それまでの間、下記の事項を腎移植施設が遵守されるよう、注意を喚起します。

1,今後の腎移植症例の全ドナー、レシピエントの HTLV-1 感染の検査を行なう。
2,陽性ドナーからの腎移植、陽性レシピエントの腎移植を行う場合には、HTLV-1 関連脊髄症(HAM)が早期に発症し、重症化した症例があったことの告知と同意。
3,腎移植後の HTLV-1 感染レシピエントに対する厳重な経過観察。」


腎移植に感染のリスクがある以上対応は必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2014-12-14 02:07 | 医療