弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

最高裁調査、「特別法廷」問題でハンセン病元患者証言

NHK「ハンセン病元患者 特別法廷を証言」(2014年12月24日)は、次のとおり報じました.

「かつてハンセン病の患者の裁判が隔離された療養所などの「特別法廷」で行われていた問題で、熊本県の療養所の元患者などが、最高裁判所の聞き取り調査に対して差別的な扱いのもとで審理が行われた当時の様子を証言しました。

かつてハンセン病の患者に対する裁判が隔離された療養所などに設けられた「特別法廷」で行われたことについて、最高裁判所は「差別的な扱いだった可能性がある」として、23日から九州や沖縄に担当者を派遣して元患者などへの聞き取り調査を行っています。
2日目の24日は、午前中、熊本県合志市の療養所、「菊池恵楓園」で、昭和30年代に行われた特別法廷に立ち会った福岡市の元弁護士、稲澤智多夫さん(95)が「裁判の前に消毒を受けさせられ、法廷では裁判官や検察官が感染を恐れて、審理を早く終わらせようとしていた」と当時の様子を証言しました。
午後からは「菊池恵楓園」で、元患者の杉野芳武さん(83)への聞き取りが行われました。
杉野さんは、特別法廷の裁判は期日の告知もなく、周囲に幕が張られて傍聴できないようにしていたなどと説明したということです。
聞き取り調査は25日まで続けられ、最高裁は、来年の夏ごろには検証結果をまとめて公表したいとしています。

元患者「大きな汚点」
最高裁判所の担当者に「菊池恵楓園」で行われた特別法廷の様子を説明した元患者の杉野芳武さんは、「法の番人である裁判所がハンセン病の患者が置かれている状況にそっぽを向いてきたのは大きな汚点だ。裁判官も患者に対して誤った認識を持っていたのか検証してほしいと伝えた」と話していました。

えん罪と主張する裁判も
24日聞き取り調査が行われた熊本県の療養所、「菊池恵楓園」では、元患者などで作る団体が、えん罪の疑いがあると主張している殺人事件の裁判も行われました。
昭和26年から27年に、現在の熊本県菊池市で起きたいわゆる「菊池事件」です。
ハンセン病患者が殺人などの罪に問われたこの事件の裁判は「菊池恵楓園」などに設置された「特別法廷」で行われ、被告の家族を除いては傍聴できませんでした。
被告は無実を訴えましたが、死刑判決を受け、昭和37年に死刑が執行されました。
元患者の団体は、この特別法廷では裁判所の職員が提出された調書などを箸で挟んで示したり、裁判官が早く審理を終えるよう求めたりして、公正な審理が行われなかったと主張して裁判のやり直しを求める活動を続けています。」

ハンセン病元患者は、高齢化していますので、今回の聞き取り調査は事実上最後の機会です.
司法・裁判の問題が真摯に検証されることを期待します.


谷直樹

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by medical-law | 2014-12-25 01:15 | 人権