弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

厚生労働省の職員(専門官)が通報内容を告訴された教授に漏らし戒告(報道)

朝日新聞「医療死亡事故の告発、厚労省職員が漏らす 対象の医師に」(2014年12月19日)は、次のとおり報じました.

「厚生労働省の職員が昨年10月、金沢大の男性准教授(51)から同大付属病院の医療事故について内部告発を受けた後、告発対象の男性医師に対し、准教授の名前や通報内容を漏らしていたことがわかった。厚労省は国家公務員法(守秘義務)違反にあたるとして今年6月、職員を戒告、上司の課長を厳重注意とした。

 同病院では2010年3月、厚労省が当時認めていた先進医療「カフェイン併用化学療法」を受けていた骨肉腫の少女(16)が急性心不全で死亡。遺族は12年7月、治療法を主導する教授である医師ら3人を業務上過失致死容疑で石川県警に告訴した。

 厚労省によると、告訴を知った准教授は昨年10月1日、同省の担当専門官(医師)に一連の経過を電話で知らせ、「厚労省はどう対応するのか」と尋ねた。専門官は翌日、告訴された医師にメールを送り、准教授の名前や通報内容を記したうえで「どのような先生なのでしょうか?」などと問い合わせた。医師は「大学内部で問題提起をしている人」と返信したという。」


金沢大学の整形外科の教授は,臨床試験期間中に臨床試験外に「治療」と称しカフェイン併用療法を実施し,臨床試験期間終了後にも「治療」と称しカフェイン併用療法を実施していました.
2010年に骨肉腫で入院していた当時16歳の少女が急性心不全で死亡し、抗がん剤の副作用による医療ミスの疑いがあるとして金沢大学の整形外科の教授らが告訴されました.
厚生労働省の担当専門官(医師)は、この告訴された教授に准教授の名前や通報内容を漏らしたのですから、当然、国家公務員法違反になります.
同法第100条1項は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定めています.
第109条 で100条1項違反の罪について「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」とされています.
単に戒告で終わる問題ではないでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2014-12-31 01:10 | コンプライアンス