弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

奈良地裁平成27年1月13日判決,西の京病院の医師に手術リスクの説明義務違反を認める(報道)

毎日新聞「損賠訴訟:病院側110万円支払い命令 手術後しびれ 「リスク説明怠る」−−地裁判決 /奈良」(2015年1月14日)は,次のとおり報じました.

「股関節の手術後に下半身にしびれなどが残ったとして患者の女性(77)が医療法人康仁会(奈良市)に約4770万の損害賠償を求めた訴訟で、奈良地裁(牧賢二裁判長)は13日、医師が手術前にリスクについて説明を怠った過失を認め、同会に慰謝料など110万円を支払うよう命じた。
 判決によると、女性は2008年、同会が運営する「西の京病院」(奈良市)で右股関節を人工関節に...」


手術には一定の危険性が伴います.手術によって悪い結果が生じた場合,当然医師に責任があると考える御相談者もいますが,法律上はそれだけでは責任は生じません.医師に過失(注意義務違反)があって,過失に因って悪い結果が生じたことを立証して,はじめて法的責任が生じます.
医師に注意義務違反がなくても,手術によって悪い結果が生じることがあり得ます.この場合,医師に責任はありません.
また,医師に注意義務違反があり,手術に因って悪い結果が生じた場合でも,その注意義務違反に因って悪い結果が生じたことが立証できない場合は,責任が生じません.つまり,手術後にしびれなどが残ったことが手術に因るものであっても,医師の過失(注意義務違反)に因るものと認められない場合,しびれ等の損害についての賠償責任は認められません.

ただし,手術リスクについての説明が不十分だった場合には説明義務違反として,(説明義務違反と結果との因果関係が立証できない場合-説明を受けていたら手術を受けなかったことが立証できない場合-は少額にならざるをえませんが)賠償責任が認められます.
説明義務違反の事案では,一般的には,少額ですので,直接交渉で示談するのが病院側にも患者側にもよいと思います.

なお,説明義務違反の事実が立証でき,かつ,説明を受けていたら手術を受けなかったことが立証できる場合は,訴訟も視野において考えることができると思います.ただし,訴訟には費用がかかりますし,訴訟前に立証できるかどうかの見込みを調査する必要があり,その調査自体にも費用がかかります.つまり,その意味で,弁護士に依頼するには経済的なリスクが伴います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-01-15 09:08 | 医療事故・医療裁判