弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

第三者検証委員会,千葉県がんセンターの腹腔鏡手術の死亡11例中10例に問題ありの報告

千葉県がんセンター11死亡例を検証していた第三者検証委員会は,2015年3月30日,千葉県に,11例中10例に問題があったとの報告書案を提出しました.

朝日新聞「千葉県がんセンターの腹腔鏡手術、倫理審査委諮らぬ例も」(2015年3月30日)は,次のとおり報じました.
 
 「難度が高く保険適用外の手術が少なくとも7例あったが、事前に安全性などを確認する倫理審査委員会に諮られなかった」
 「再発防止策として、倫理審査や手術前の検討体制の強化などを提言。また、検証委は2007~13年度にセンターで行われた膵(すい)頭十二指腸を切除する腹腔鏡手術の死亡率は6・2%で、日本外科学会調査による平均2・5%より高く、センター内の開腹手術の約15倍だったことも明らかにした。」


NHK「千葉県がんセンター10人の手術に問題」(2015年3月30日)は,次のとおり報じました.

「検証委員会が30日公表した報告書によりますと、調査対象の患者11人のうち10人について、手術方法の選択や手術中の対応などに問題があったと指摘しています。
また問題が指摘された10人のうち7人の患者については同じ男性医師が担当し、このうち平成25年1月に行われた74歳の男性の手術について、「本来必要のない静脈の切除が行われたことなどが死亡につながった。難しい手術にもかかわらず、腹くう鏡を使って行うという判断に問題があった」と指摘しています。
また、同じ医師が担当し平成24年9月に行われた76歳の女性の手術については、「出血した際に、腹くう鏡を使った止血にこだわり、適切な対応が遅れた」と指摘しています。
報告書では、がんセンターで行われたすい臓の一部や十二指腸を切除する手術のあと在院中または30日以内に死亡した率が腹くう鏡を使って行った場合、腹を開く開腹手術よりおよそ15倍高かったことも明らかにしており、腹くう鏡を使った手術のリスクが浮き彫りになったと指摘しています。
そして、難しい手術を病院内の倫理審査委員会に諮らずに行ったことや、患者への説明が不十分だったことも問題だとしています。」


 このように,術前・術中・術後の問題が指摘されています.
 医師は,標準的な医療を逸脱して,独善的な医療行為を行ってはなりませんし,もし仮にそのような医療行為を行おうとする医師がいれば,グループで治療にあたっている医師が止めなければなりません.医師と病院の問題がどこまで解明され,改善されるのか,注目したいと思います.

【追記】

千葉県がんセンターにおける腹腔鏡下手術の死亡事例に係る第三者検証委員会報告書(平成27年7月15日)」ご参照

 
 谷直樹

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by medical-law | 2015-03-31 00:02 | 医療事故・医療裁判