弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

公立大学法人福島県立医科大学産科婦人科学教授が倫理委員会の承認を得ず患者の手術記録を研究に使用

公立大学法人福島県立医科大学は,2015年5月1日,「「臨床研究に関する倫理指針」不適合について」をサイトに掲載しました.

福島民報「福島医大、患者の手術記録を承認得ず使用」(2015年5月1日)は,次のとおり報じました.

「福島医大は30日、産科婦人科学講座の××××教授らが子宮筋腫患者の手術記録を学内の倫理委員会の承認を得ず、研究に使用したと明らかにした。同大は国の臨床研究に関する倫理指針に適合しない研究だとして、処分を検討する。
 研究を担当したのは××教授と30代男性助手。2人は平成24~26年度に付属病院で3D内視鏡や高感度内視鏡を使い、子宮筋腫を手術した46人分の記録から、従来の内視鏡を用いた症例と比較するため、出血量や手術時間、腫瘍の大きさなどを研究データとして抽出。26年には研究結果を3回にわたり、学会で発表した。
 同大では国の倫理指針に基づき、研究者が患者記録を研究に用いる際には学内の倫理委員会に申請し、承認される必要があるが、××教授らは申請していなかった。××教授は「申請は必要ないと認識していた」と話しているという。
 同大は研究に協力した患者全員に文書で謝罪。再発防止策として倫理講習会(年2回)の受講範囲を事務職員に広げることなどを決めた。同大研究推進課は「事態を真摯(しんし)に受け止め、研究倫理の一層の徹底を図る」としている。」




 教授らに特段の悪しき意図はなく,臨床研究のルールについての認識が誤っていただけなのかもしれません.その背景には,患者は治療のために手術を受けたのであって臨床研究の比較のために手術を受けたのではないので配慮と手続きが必要,という或る意味通常の感覚を欠如していたのかもしれません.


谷直樹


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by medical-law | 2015-05-02 07:04 | コンプライアンス