弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

新潟県立加茂病院,70歳代の認知症患者の食道の誤飲した義歯を見逃し,358万8100円賠償(報道)

NHK「加茂病院の医療ミスで県が賠償」(2015年6月5日)は,次のとおり報じました.

「県立加茂病院によりますと、平成24年11月、肺炎で入院した認知症の70代の女性患者にX線検査をした際、医師が食道に影を確認したものの、過去の手術の際、健康を維持するために置いた医療器具だと考えそのままにしていました。
女性は、その7か月後に体調が急変し、改めてX線検査をしたところ、影は、女性が誤って飲み込んだ入れ歯だったことがわかりました。
女性は、去年5月、肺炎で亡くなり、遺族が「入れ歯を見落としたことが肺炎を引き起こしたり、飲み込む力の低下につながったりした」と主張し、民事調停を起こしていました。
これについて、新潟県は肺炎との因果関係は否定したものの、「入れ歯を見過ごしたことで、飲み込む力の低下を起こした可能性は否定できない」として医療ミスを認め、遺族に358万円余りを支払うことを決めました。
病院では、検査の際に患者や家族の聞き取りを徹底して再発防止を図りたいとしています。」



上記報道と 「医療事故に係る民事調停の成立について(県立加茂病院)」で知る範囲からすると,平成25年6月に患者が急変した際にX線検査を実施して改めて精査した結果,陰影は入院前に患者が誤飲した義歯と判明し,患者家族に謝罪し治療方針を相談した結果義歯を除去せず保存的に治療を行うこととしたとのことです.平成24年11月の時点では,70歳代の患者は義歯取り出しに耐える体力があったのが7か月の間にその体力がなくなったということなのでしょう.

民事調停手続については裁判所のサイトご参照


 谷直樹


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by medical-law | 2015-06-05 19:50 | 医療事故・医療裁判