弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大崎市民病院のカルテ不正閲覧事件提訴へ(報道)

朝日新聞「電子カルテ不正閲覧 大崎市民病院職員ら24人」(2015年6月11日)は次のとおり報じました.

「大崎市民病院の職員と医療事務を受託する企業(本社・東京)の従業員計24人が、入院する姉妹2人の電子カルテを業務で必要がないのにもかかわらず不正に閲覧していたことがわかった。病院は目的外使用として24人に文書で注意し、姉妹の母親に謝罪した。
 病院や母親の代理人の弁護士によると、20代と10代の姉妹が入院中の昨年10月、24人が院内のパソコンでカルテを読んだ。患者の名前を入力すると閲覧できる仕組みだった。母親は当時、受託企業の社員で、閲覧者の多くは病院の聞き取り調査に「同僚の子が入院したので興味があった」などと説明しているという。

 母親が昨秋、カルテを読まなければ知り得ない家庭事情を上司から告げられ、無断での閲覧がわかった。母親は2月に退社した。
 代理人の弁護士によると、閲覧と再発防止策について誠意ある説明や損害賠償を要求。病院を相手取った提訴も検討している。

 受託企業は昨年11月と12月、市民病院に勤務する106人に再発を防ぐための研修をした。病院は、情報保護徹底を図る職員向けの教育を準備している。」


河北新報「<カルテ不正閲覧>内部調査「虐待興味ひいた」(2015年7月10日)は次のとおり報じました.

「父親から家庭内暴力を受け大崎市民病院(宮城県大崎市)に保護入院した姉妹の電子カルテが病院職員らに不正閲覧された問題で、病院は9日、内部調査結果を公表し、不正閲覧の理由として「『虐待』という病名が興味をひいた」と説明した。市議会民生常任委員会に報告した。
 調査は姉妹の電子カルテにアクセスした106人を対象に6月22日から7月2日まで面談形式で実施。このうち、職務と無関係に不正閲覧した医療事務会社の職員ら24人中17人が姉妹の入院を「異例案件」として発見したと回答。「患者一覧の病名に『虐待』と記されていたのが興味をひいた」と分析した。不正閲覧の動機は、24人中20人が「興味本位で」と答えた。
 患者の情報を誰かに話したか106人に尋ねたところ、97人が「話していない」と回答。病院側は「情報が病院外に漏れたとは考えにくい」と説明した。
 今後、院内に不祥事防止対策委員会を組織し、電子カルテのアクセス履歴を抜き打ちチェックするなど再発防止策を講じる方針。
 委員からは「職員のモラルに頼るのではなく、患者の秘密が守られるよう閲覧システムを改善すべきだ」などと注文があった。」


朝日新聞「電子カルテ閲覧、職務ごとに制限 大崎市民病院」(2015年7月16日)は,次のとおり報じました.
 
「大崎市民病院の入院患者の電子カルテを職員らが不正に閲覧していた問題で、同院は15日、再発防止策を明らかにした。職員らの職務内容に応じて閲覧範囲を制限し、院内に病院事業副管理者をトップとする「不祥事防止対策委員会」を設ける。

 阿部健雄・事業管理者らが記者会見して発表した。
 閲覧を制限するのは、医師と看護師を除いた職員と業務の委託先企業の社員。制限範囲は8月末までに決める。これまで職員と社員の全員がパソコンでカルテを見ることができた。
 職員と社員を対象に、不正閲覧が常態化していたかどうかを調べるアンケートもする。コンプライアンス(法令や社会規範の順守)の認識度合いも尋ね、8月中に結果をまとめる。
 阿部氏は責任をとり、8月分の給料を3割返す。」


朝日新聞「カルテ不正閲覧、母娘3人提訴へ 大崎市民病院」(2015年7月18日)は,次のとおり報じました.

「大崎市民病院の職員と医療事務を受託していた「ニチイ学館」(東京)の従業員によるカルテの不正閲覧でプライバシーを侵害されたとして、病院に入院していた姉妹と母親が病院と同社を相手取り、900万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁古川支部に起こすことが17日、関係者への取材でわかった。

 訴状などによると、昨年10月、父親からの暴力でけがをした次女が病院で診察を受け、長女とともに保護入院した。その際、同社の従業員だった母親が「子どもが階段から落ちてけがをした」と上司に伝えたところ、「なぜウソをつくのか」と言われ、カルテを無断で閲覧されていたことがわかった。
 母親は職場の人間関係に悩み、2月末で退社した。母娘の代理人の鈴木絢子弁護士は取材に「虐待やDVの被害者が保護されるべき病院でプライバシーの侵害が起きた」と話した。」


あじさい法律事務所の鈴木絢子弁護士が担当している事件です.
あまりにひどい事件です.
プライバシー侵害の損害が裁判所でどのように評価されるか,判決に注目したいと思います.

また,別のニチイケアセンター池上の192件の個人情報紛失(流出)問題もありますので,今後もニチイ学館への委託を継続するかも含めて検討する必要があるのではないでしょうか.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-20 17:33 | 医療事故・医療裁判