弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

娩出が遅れ児が重度障害を負った事案で,山形県と1200万円の和解成立

仙台高等裁判所において,平成27年7月23日,児の娩出が遅れ児が重度の障害を負った事案で,山形県と1200万円で訴訟上の和解が成立しました.

【経過】 
原告(控訴人)は,平成18年×月○日午後3時18分に帝王切開により出生しました.

山形地方裁判所平成24年3月13日判決は,平成18年×月×日午後7時40分から午後8時35分までの分娩監視装置の所見から同日午後8時32分には急速遂娩を決定すべきであったと山形県立■■病院産婦人科の担当医師の過失を認定しました.
ただ,同時刻までに急速遂娩を決定し午後10時32分ころまでに原告を娩出したとしても,原告に生じている後遺障害を免れることができた高度の蓋然性があるとはいえないから,被告病院医師が急速遂娩を決定すべき注意義務に違反し,これを決定しなかった過失と原告に生じた後遺障害との間には因果関係があるとはいえない,との理由で,原告の請求を棄却しました.

原告(控訴人)は,平成24年3月15日,控訴しました.
私と伊藤律子弁護士,笹川麻利恵弁護士は,控訴審から控訴人(患者側)の代理人に就きました.

仙台高等裁判所で,(1)×月×日午前10時10分から午前11時7分の分娩監視装置の所見からバックアップテストを行い異常(胎児母体間輸血症候群による胎児貧血)を発見し娩出する義務があること,(2)胎児母体間輸血症候群の進行が緩やかだったことから仮に午後10時32分ころに娩出したとしても予後は良かったこと(障害は翌日午後3時18分まで娩出が遅れたことによるものであること)を主張しました.

仙台高等裁判所の和解提案により1200万円での和解が成立しました.

【コメント】
1200万円の和解金額は,仙台高等裁判所が過失と或る程度の因果関係を認めたものと考えます.
山形県は,医師の過失を認定した山形地方裁判所の判決と,因果関係についての仙台高等裁判所の審理経過を真摯に受け止め,再発防止に努めていただきたい,と思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-07-25 00:21 | 医療事故・医療裁判