弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

片山律先生が喫煙18歳引き下げ論について語る

マイナビニュース「飲酒・喫煙「18歳」引き下げ 根強い反対論の背景とは?」(2015年10月25日)で,片山律先生が次のとおり語っています.

「日本禁煙学会の理事を務める片山律弁護士は次のように指摘します。

「まず挙げられるは健康被害です。『喫煙と健康問題に関する実態調査』(平成10年度厚生労働省)には、吸い始める年齢が若いほどニコチン依存度が高い人が増えるとの報告があります。20年後30年後に、禁煙できるかどうかや、がんなどになっているかもしれないと想像して、喫煙を始めるかどうかを決めるのは難しいですよね。18歳で選挙権があるからといって、たばこを吸うか吸わないかの自由もあるだろうというのはナンセンスです。

厚労省によると、喫煙の開始時期を“青少年期”と“成人後”で比べると、青少年期に始めた方が虚血性心疾患やがんなどの危険性が高くなるデータもあります。肺がんでは、20歳未満で喫煙を開始した場合の死亡率は、非喫煙者に比べて5.5倍となっています。

 アルコール依存症に関しても、青年期の飲酒が深く関わっています。同省には、「15歳以下から」と「21歳以上から」で、お酒を飲み始めた場合を比べると、アルコール依存症になる確率が3倍以上に上がるという調査や、未成年のうちから飲酒しているとアルコール依存症のリスクが高まることが報告されています。科学的な根拠として、早期の飲酒喫煙の開始の危険性が認められているのです。

「そのほか現実的に問題があると思われるのは、学校教育の場面ではないでしょうか。校則では禁止されている一方、法律では許可されるというねじれた状況は、教師が困ることになるのは想像できます。生徒は3年生の途中から順番に18歳に達していくので、一律に喫煙を禁止する指導ができません。法律で喫煙が認められていても、校則で喫煙禁止を規定することはできますが、現実問題として生徒にどうして駄目なのかを問われた場合に、『校則だから』としか言えず説得力に欠けます。教育現場の混乱を招くでしょう」(片山弁護士)

片山弁護士は、そもそも立法の趣旨が公職選挙法や民法の成人年齢とは違うとも指摘します。

「法律の立法趣旨からも賛成できません。未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法の第1条は、『満20年に至らざる者は…』と規定されており、『“成年”に至らざるもの』としていません。選挙権や成年の年齢引き下げと、飲酒喫煙の年齢を引き下げる話はその立法趣旨が異なるので一緒に検討すべきものではないのです。『早いうちから政治に関心を持つ』という趣旨での引き下げはわかるが、『若者の健康を守る』という趣旨からすると、こちらはスライドする必要はなく、むしろ引き上げたっていいとも思います」」

「片山弁護士は「事実、今規定されている法律がすべて正しいわけではありません」と指摘し、現在の世界各国の基準に合わせるべきではないとしています。飲酒喫煙に関する世界の潮流の変化や健康被害に関するデータも揃ってきましたので、解禁年齢の引き下げは慎重に進める必要があるでしょう。(ライター・重野真)」


年齢引き下げ論は,選挙権とのバランス,18歳から喫煙飲酒を許している国もある,というだけの理由にすぎません.片山律先生が指摘するとおり,健康被害が科学的に明らかになっていること,海外でもニューヨークなど年齢引き上げの動きがあることを考えると,年齢引き下げ論は暴論というべきでしょう.
とくに喫煙については,生年による規制を考えるべきでしょう.例えば,2000年1月1月以降に生まれた者は喫煙してはならない,2000年1月1月以降に生まれた者が喫煙したときは50万円以下の罰金に処する,という法律を2020年1月1日から施行すれば,いずれタバコを吸う人はいなくなるでしょう.


 谷直樹


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by medical-law | 2015-10-26 18:39 | タバコ