弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大分地裁平成27年10月29日判決,治療方法の選定や退院後の経過観察について病院の過失を認める

朝日新聞「治療後に死亡、大分県立病院の過失を一部を認定」(2015年10月3 1日)は,次のとおり報じました.
 
「大分県立病院(大分市)で肝がんの治療後に死亡した男性(当時62)の遺族が、県に約6200万円の損害賠償を求めた訴訟で、大分地裁の竹内浩史裁判長は29日、治療方法の選定や退院後の経過観察について病院の過失を一部認め、県に慰謝料など計1700万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2008年に肝がんを焼く手術を数回受けたが、がんが再発し、09年に死亡した。

 判決は、初期の治療法には合理性を認めたものの、その後の治療について「他の治療法の適否を慎重に吟味すべきだった」として、病院の過失を一部認めた。術後の経過観察でも、腫瘍(しゅよう)マーカーの値が急上昇していたのに、検査など適切な対処をしなかったと指摘。その上で、病院の過失がなければ男性が延命した可能性があると認定した。

 同病院は「判決内容を十分検討し、今後の対応を考えたい」とコメントした。(鈴木春香)」


本件は,私が担当したものではないので,推論になりますが,肝細胞がんは,適切な治療法が確立し,治療法の有効性も証明されていますので,適切な治療が行われなかった場合の延命可能性の認定も比較的容易にできるようになってきています.この事案で腫瘍マーカーの値が急上昇していたときに検査など適切な対処をしていれば延命した可能性があるという認定につながったのだと思います.


毎日新聞「医師注意義務違反:県立病院過失で1700万円賠償命令 地裁判決 /大分」(2015年11月3日)は,次のとおり報じました.

「判決によると、男性は2008年9月多発性肝細胞がんと診断を受け、同10月に県立病院に入院。RFA(ラジオ波で腫瘍を死滅させる治療法)を受けたが入退院を繰り返し、09年7月に亡くなった。
 竹内裁判長は位置の特定が困難だった腫瘍に対して行ったRFAが「有効かつ適切なものであったか疑問。安易にRFAを継続し、適切な検査や治療方法を選択・実施する注意義務に違反した」と指摘。さらにその後の経過観察にも過失を認めた。【佐野格】」

ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation)の継続と経過観察の過失(腫瘍マーカー上昇時の対応の遅れ)をとったのでしょう.


谷直樹


ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2015-11-01 23:19 | 医療事故・医療裁判