弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

上田市立産婦人科病院での出産事故について和解成立

読売新聞「市立病院の出産事故2件、5400万円で和解へ」(2015年11月17日)は、 次のとおり報じました.

 「長野県上田市は16日、同市立産婦人科病院での出産を巡って損害賠償を求められていた2件の訴訟で、和解が成立する見通しになったと発表した。

 市は和解金として原告側に計約5400万円を支払う。

 24日開会の市議会12月定例会に関連の議案を提出する。

 病院によると、2件の訴訟は、同病院で2009年に出産した母親と、13年に出産した別の母親らが起こしたもの。いずれの新生児も出産翌日に死亡したが、病院側の処置が不適切だったことが原因だとして、それぞれ長野地裁上田支部と東京地裁に損害賠償を求め、提訴していた。」


信濃毎日「上田の旧市産院・市立病院 新生児死亡和解へ 2件計5360万円支払い合意」(2015年11月17日)は,次のとおり報じました.

「旧市産院の閉院に伴って開院した市立産婦人科病院で13年3月に生まれた男児も,頭部の出血性ショックで翌日に搬送先の県内の病院で死亡。両親は出産時の吸引分娩が原因とし,14年5月に5200万円余の損害賠償を求めて同支部に提訴した。市側は吸引分娩を続けたことが過失とは言えないとしたが,今年10月に原告側が条件によって和解に応じる上申書を提出し,市が和解金5千万を支払うことで合意した。16日に記者会見した元市産院院長で市立産婦人科病院の広瀬健院長は,男児について吸引と死亡の因果関係を認め,「責任を痛感している」と述べ,2件の遺族に対し,「期待した医療提供に応えられなかった」などとして謝罪の言葉を述べた。」

朝日新聞「出産事故2件和解 上田市」(2015年11月17日)は,次のとおり,報じました.

「上田市は16日、市立産婦人科病院などで生まれた男児と女児が出血性ショックで死亡する事故があり、2件それぞれ和解することで合意したと発表した。12月議会で関連議案が可決されれば和解金が支払われる。

 市立産婦人科病院の説明によると、2013年3月に出生した男児が搬送先の病院で死亡した。男児は吸引分娩(ぶんべん)の後、帝王切開で生まれたが、吸引分娩で生じた帽状腱(けん)膜下血腫の出血性ショックで亡くなった。

 遺族側は上田市を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしたが、今年10月に和解した。和解金は5千万円となる。

 また、09年7月には、旧上田市産院(現・市立産婦人科病院)で生まれた女児が死亡。出生時に出血があり、仮死状態で生まれたため蘇生処置を施したが、搬送先の病院で亡くなった。死亡後、脾膿胞(ひのうほう)が破れて出血していたことも分かった。このケースでも、遺族側が損害賠償の支払いを求める訴えを起こしたが、9月に和解することで合意した。和解金は360万円となる。

 市立産婦人科病院の広瀬健院長は「謝意を表し、今後、医療安全に関する取り組みをさらに徹底し、安心してお産ができる病院づくりに努めていく」と話した。(鈴木基顕)」


読売新聞では上記のとおり2件がまとめられていますが、11月17日の信濃毎日新聞では、9月に360万円で長野地裁上田支部で和解した事案と、10月に5000万円で東京地裁で和解した事案が報じられています.

360万円の和解のケースは私が担当したものではありませんので詳細はわかりません.

10月に5000万円で和解した事案は、私と渕上陽子弁護士が担当しました.
管轄のある長野地裁上田支部に提訴しましたが、上田市の代理人弁護士(東京)から東京地裁への移送申立てがあり、移送に同意し、東京地裁で審理されました.ガイドラン違反の吸引分娩により 帽状腱膜下血腫をきたし、出生後に亡くなった非常に残念な事案です.医師のガイドライン違反の過失行為により待望の児を失うという痛ましい事案なので、判決までいくつもりで立証活動を行っていましたが、最終的に市立産婦人科病院が事故について反省し過失と因果関係を認め謝罪しましたので、和解が成立しました.
学会が定めたガイドラインを遵守することは事故防止のために必要です.
また、ガイドライン違反の医療行為により児が死亡した場合その責任を免れることはできないことが確認できたと思います.


谷直樹


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by medical-law | 2015-11-18 00:37 | 医療事故・医療裁判