弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

病理検査の検体取り違えて胃癌と誤診し胃切除の医療過誤で,兵庫県が2000万円支払い和解(報道)

神戸新聞「胃がんと誤診し一部切除 兵庫県が遺族と和解」(2015年12月25日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県は25日、県立加古川医療センター(加古川市)で2011年にがんではない70代男性の胃を誤って切除した医療事故をめぐり、男性の遺族に解決金2千万円を支払うことで、神戸地裁で和解が成立したと発表した。

 県によると、11年2月に同センターの検査技師が男性の胃の病理検査をした際、80代の入院患者の組織片と取り違えて標本を作製。男性は胃潰瘍だったが、胃がんと誤診され、3月に手術で胃の3分の2を切除した。

 同センターは過失を認めて謝罪し、補償交渉を進めたが、男性は翌年8月に自殺。医療ミスとの因果関係は不明とされた。

 今年5月に男性の遺族が、県に対して5500万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴。10月に裁判所が和解を勧告していた。

 県の佐藤二郎病院事業副管理者は「このような事案が発生したことは、大変申し訳ない。再発防止に努めたい」としている。(斉藤正志)」


本件は,私が担当した事件ではありませんので,上記報道以上のことは知りませんが,一般に医療過誤事件では,自殺との因果関係認定が厳しすぎるように思います.

医療安全情報 No.53「病理診断時の検体取り違え」(2011年4月)によれば,病理診断において、別の患者の検体と取り違えた事例が6件報告されています(集計期間:2007年1月1日~2011年2月28日),とのことです.
防止策は,簡単です.作業を同時並行で行わないことです.それは誰もが知っています.
医療事故防止のためには,自分は間違えないなどと過信しないで,若干効率が悪くなりますが,1人ずつ作業をすすめることが必要です.


谷直樹


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by medical-law | 2015-12-26 05:11 | 医療事故・医療裁判