弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療安全情報No.111「パニック値の緊急連絡の遅れ」

公益財団法人日本医療機能評価機構は,2016年2月15日,医療安全情報No.111(2016年2月)「パニック値の緊急連絡の遅れ」を発表しました.

「事 例 1
診察前に実施した血液検査でヘモグロビン値が低下していたため、鉄剤を処方され、患者は帰宅した。診察時、血糖値は「検査中」と表示されていたが、実際は異常値で再検中であった。患者の血糖値は800mg/dLであったため、本来であればパニック値として検査部より医師に報告するところ、臨床検査技師は昼休憩の時間帯で人数が少なかったため余裕がなく、連絡を忘れた。10日後、患者から倦怠感があると電話があり、医師が前回の検査結果を確認したところ血糖値が800mg/dLであったことが分かり、入院となった。

事 例 2
外来で採血後、患者は入院した。患者は全身倦怠感があり、血圧80/50mmHg、呼吸促迫状態でSpO2が89%であることを病棟看護師は確認した。臨床検査技師は血清カリウム値がパニック値(6.4mEq/L)であったため、再検後に外来看護師に報告した。外来看護師より、病棟に直接連絡してほしいと依頼があり、臨床検査技師は病棟の看護師に報告した。病棟看護師は主治医が不在時の連絡方法を知らず、パニック値が医師に伝わらなかった。

事例が発生した医療機関の取り組み
・検査値がパニック値であった場合の報告手順を院内に周知する。
・検査部では、パニック値の連絡を行った際、検査結果、連絡者、連絡先医師名を記録に残す。
・主治医不在時の連絡・対応体制を構築し、周知する。」


パニック値は,病院により異なりますが,危機的な状態であることを示す値ですから,迅速・確実に臨床医に伝達されることが必要です.

谷直樹


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by medical-law | 2016-02-16 00:15 | 医療事故・医療裁判