弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

ハンセン病元患者家族、国を提訴(報道)

熊本日日新聞「ハンセン病元患者家族、国を提訴 熊本地裁 」(2016年2月16日)は,次のとおり報じました.

「ハンセン病患者を強制隔離した国の政策によって差別や偏見などの被害を受けたとして、元患者らの家族59人が15日、国に謝罪と1人当たり550万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴した。家族の被害をめぐる集団訴訟は初めて。

 原告は37~92歳の男女で、東北から沖縄まで県内を含む西日本を中心に居住。菊池恵楓園(合志市)など全国13の国立療養所などの入所者や退所者の子ども、配偶者、きょうだいも含まれる。

 訴状によると、国はらい予防法が廃止される1996年まで隔離政策を続け、患者だけでなく家族への差別・偏見を助長。治療薬の普及などで遅くとも60年以降は隔離の必要性が失われたのに、国は差別・偏見を解消する措置を講じなかった。

 このため家族は地域や学校で差別され、婚約の破談や離婚、転職を余儀なくされた。親を憎むなど家族関係が破壊されたケースもあり、「個人の尊厳が損なわれた」と訴えている。

 2001年の熊本地裁判決(確定)は、国が60年以降も隔離政策を続けたのは違憲と判断し、元患者らの損害を認定。国は全国原告団協議会との基本合意などに基づき、元患者らに和解一時金(補償金)を支給してきたが、家族の被害は対象外とされてきた。

 提訴に対し、厚生労働省難病対策課は「訴状が届いておらず、コメントは差し控える」としている。

 弁護団は3月下旬に第2陣の提訴を予定しており、新たな原告は50人を超える見通し。今月21日午後1時~午後5時、訴訟に関する電話相談会を開く。熊本市南区の菜の花法律事務所TEL096(322)7731。(中村勝洋)」


朝日新聞「ハンセン病元患者の子らが国を提訴 「隔離で離散や差別」」(2016年2月16日)は,次のとおり報じました.

ハンセン病に対する国の隔離政策で差別や偏見が助長され、家族の離散や苦しい生活を余儀なくされたなどとして、元患者の子どもら家族59人が15日、国に総額2億9500万円の損害賠償と謝罪などを求め、国家賠償法に基づく初の集団訴訟を熊本地裁に起こした。

 隔離政策の違憲性を認めた2001年の同地裁の判決が確定後、国は元患者に謝罪し、補償を続けており、原告側は「家族への国の責任も認められるべきだ」と訴えている。3月29日には第2陣の熊本地裁への提訴を予定しており、全国から参加する原告は計150人を超える見込みだ。

 訴状によると原告は、患者を隔離した国の誤った政策で社会に根付いた偏見によって差別され、平穏な生活を送る権利を侵害されたと主張。1人当たり500万円の賠償に加え、名誉回復のため新聞紙上への謝罪広告の掲載を求めている。

 原告弁護団によると、提訴したのは九州・沖縄や関西、東京、東北などの37~92歳。平均年齢は68歳で、元患者を親に持つ人がほとんど。肉親を強制的に療養所に収容され一家が離散したほか、結婚や婚約の破談や転職を余儀なくされた人が多いという。01年の熊本地裁判決は、遅くとも1960年以降、治療薬の普及などから隔離政策は必要性がなく違法だったと指摘した。今回の訴訟では「その前(60年以前)からも、今でも被害は続いている」と訴えていく方針。

 隔離政策の根拠となっていた「らい予防法」が96年に廃止されて近く20年となり、今年3月末で損害賠償を請求できる「除斥期間」が過ぎるため、弁護団は全国で原告を募っている。

 弁護団の徳田靖之共同代表は会見で「(差別を恐れ)声を上げられない家族たちは数千人いるはず。裁判を通じて被害を明らかにし、解放する場にするため、多くの人に参加してほしい」と話した。21日には弁護団が主催し、全国4カ所で一斉に電話相談に応じる。九州は菜の花法律事務所(096・322・7731)、沖縄は幸喜・稲山総合法律事務所(098・938・4381)で受け付ける。

 厚生労働省の担当者は「訴状を確認しておらず、報道以上のことは把握していないのでコメントできない」と話した。(籏智広太)」


 患者本人だけではなく家族も被害を受けてきたのは確かです.私は,裁判にはかかわっていませんが,展開に注目したいと思います.

【追記】

朝日新聞「ハンセン病、新たに509人提訴 家族ら「差別解決を」(2016年月29日)は次のとおり報じました.

「らい予防法を根拠とした国の誤ったハンセン病隔離政策によって差別や経済的な被害を受けたとして、元患者の家族が国家賠償法に基づいて初めて起こした集団訴訟で、全国の509人が29日、熊本地裁に新たに提訴した。原告は2月に提訴した59人と合わせて568人になり、1人あたり500万円の損害賠償と謝罪を国に求めている。

 弁護団によると、新たに提訴した509人は23~96歳の男女。60~70代が250人を超える。元患者の子のほか、発症時に同居していた親や兄弟姉妹、孫、おいやめいも含まれる。地域は九州・沖縄が333人で、その4分の3が沖縄。ほかに関東が58人、近畿が48人、中部が27人など。

 国がハンセン病療養所への隔離政策を続けたことで、社会に差別や偏見が広がり、家族の離散や苦しい生活を余儀なくされたことなどを訴えている。

 提訴後の記者会見には新たに提訴した2人も臨んだ。大島青松園(高松市)で暮らした詩人の故・塔和子さん(享年83)の弟、井土一徳さん(80)=高知県=は「何も悪いことをしていないのに、隠れて生きてきた。すべての家族の思いがこもった裁判で、人としての尊厳を取り戻したい」と語った。

 両親がいた宮古南静園(沖縄県宮古島市)で誕生後、祖母に育てられた奥平光子さん(58)=同市=は「いまだに家族への差別があり、周りに言えない人がいる現状を国は認め、解決してほしい」と訴えた。

 弁護団の徳田靖之共同代表は「509という数字には驚いている。家族として苦難の人生を歩んできた人たちは数千人いるはず。どうしてこうなったのか、社会や国の責任を徹底的に明らかにしたい」と話した。

 らい予防法の廃止から今月末で20年となり、その後は国の隔離政策への民法上の損害賠償請求権がなくなるため、集団提訴は今回が最後だという。(籏智広太)」


谷直樹


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by medical-law | 2016-02-16 22:05 | 医療事故・医療裁判