弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

救急功労者表彰(総務大臣表彰)を受けはった院長の病院の手術室が物干し場としても使われていた!

京都新聞「手術室は物干し、名ばかり救急外科 京都市から補助金」(2016年2月20日)は,次のとおり報じました.

「外科を標ぼうし、入院治療を担う二次救急医療の輪番制に加わっている京都市下京区の京都四条病院が、手術室を衣服干しなど別用途に使い、手術のできない状態が続いていたことが19日、病院への取材で分かった。輪番制に加わる病院に補助金を支出する市は「別の用途の使用は不適切。事実であれば行政指導の対象となる」とし、近く病院に事実確認する方針。病院は「認識がまずかったのかもしれないが、手術が必要な救急患者は引き受けていなかった」としている。

 二次救急医療を統括する京都府や市による施設の運用状況などのチェックが十分ではなく、地域の救急医療体制のあり方が問われそうだ。

 同病院によると、過去には全身麻酔下の手術をしていたが常勤麻酔科医が退職し、段階的にしなくなった。「手術室」と表示する部屋はあるが、衣服を干したり入院患者の着替え場所に使ったりしていたという。

 同病院の説明では、少なくとも20年以上前から京都市と乙訓地域の病院でつくる輪番制に加わっている。同病院は2012~14年度に年間22~26日の当番日があった。市は計276万4千円を交付してきたが、「病院の善意を信じる」(医務衛生課)として、手術室の確認はしてこなかった。

 ××××院長(58)は「手術室の不適切な利用があったのは事実。取材を受けて消毒し、現在は手術できる体制になっている」と話している。

 京都四条病院は1962年に設立。60床で、外科や脳神経外科など8科を標ぼうする。医療法の施行規則によると、外科や脳神経外科の標ぼうには手術室を備える必要がある。

 <輪番制病院>救急医療を実施できる病院同士が輪番制で当番を分担し、休日や夜間に重症の救急患者を受け入れる仕組み。当番日は病床や医師数を確保していなければならない。京都府内では「京都・乙訓医療圏」と「山城北医療圏」で輪番制を組んでいる。」



京都新聞「手術室の目的外使用「4~5年」 京都四条病院、輪番制脱退へ」(2016年2月20日)は,次のとおり報じました.

「二次救急医療の輪番制に加わる京都四条病院が、手術室を衣服干しなどに使って手術できない状態を続けていた問題で、××××院長(58)が20日、京都市下京区の同病院で記者会見し、「不適切な行為だった」として輪番制から外れる方針を示した。手術室の別用途利用は少なくとも4~5年前には行われていたことも明らかにした。

 ××院長によると、週1~2回は洗濯物を干し、週2~4回は患者の着替えに使っていた。別用途に使っていた時期でも、部屋を消毒後、月1~2回程度、局所麻酔下で、できものなどの切除を実施していたという。「手術室以外でできる内容だが、衛生面などで手術室が適すると判断した」と説明した。別用途利用のきっかけとなった常勤麻酔科医の退職は約15年前という。

 手術室については「取材を受け、半日かけて改善した」と強調。しかし医師確保の点で、全身麻酔下での手術ができる見込みは立っていないという。

 会見では「大変反省している」としながらも、「対応できる救急患者は受け入れており、京都の救急医療の一端を担ってきた」と訴え、謝罪はしなかった。輪番制病院として交付を受けていた補助金については「市民感情として受け入れられないのであれば、返すことも検討する」と話した。」


外科医の院長(副理事長)は,京都府推薦で,長年にわたる京都府の救急医療体制拡充への貢献に対し,平成27年度総務省の救急功労者表彰(総務大臣表彰)を受けました.ちなみに,理事長は脳神経外科医です.
この病院は,内科・消化器内科・消化器外科・外科・整形外科・脳神経外科・神経内科・麻酔科を標榜し,手術以外の患者には2次救急の輪番制病院として,対応してきたそうです.

洗濯物の干し場になっていても,「手術室」という名前の部屋があることは,嘘ではなかったのですが,釈然としません.
医療法施行規則20条2号は,「手術室は、診療科名中に外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、産科、婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科の一を有する病院又は歯科医業についての診療科名のみを診療科名とする病院においてはこれを有しなければならない。」と定めています.
同3号は「手術室は、なるべく準備室を附設しじんあいの入らないようにし、その内壁全部を不浸透質のもので覆い、適当な暖房及び照明の設備を有し、清潔な手洗いの設備を附属して有しなければならない。」としています.
規則には,手術室を洗濯物の干し場にしてはならないと書いてはいませんが,規則の趣旨からすると,手術室を洗濯物の干し場として別途利用するのは,(消毒するとはいえ)不適切と考えられます.

脳神経外科医である理事長,外科医である副理事長は,手術室を洗濯物の干し場として別途利用することについてどのように考えていたのでしょうか.

また,常勤麻酔科医の退職後,体制を充実して,名実ともに2次救急医療の一角を担うという前向きの方向にすすむことはできなかったのでしょうか.


谷直樹


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by medical-law | 2016-02-21 11:23 | 医療